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2015年2月 9日 (月)

『絶叫』 葉真中顕 > 「このミス」完全読破 No.792

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.792

 『絶 叫』 葉真中顕

   「このミス」2015年版 : 11位

   受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞」候補)
            (「吉川英治文学新人賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 6位
               「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
                 (小説ランキング) 43位

   読始:2014.12.17~ 読終:2014.12.25

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2014年10月>

絶叫絶叫
葉真中 顕

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 葉真中顕は、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞したNo.643「ロスト・ケア」で2013年にデビュー。

 すると、「このミス」で10位、「ミステリが読みたい!(早ミス)」で5位、「週刊文春ミステリーベスト10」で14位にランクインするなど、デビュー作としてはかなりの評価を受けました。

 そしてその翌年(2014年)に発売されたのがデビュー2作目となる本作なのですが、こちらも「このミス」で11位、「文春」では前作から順位を上げての6位にランクイン(「早ミス」は発売月の関係で翌年度版の対象)。

 さらには吉川英治文学新人賞の候補にノミネートされるなど、デビュー作が決してフロックではなかったことを証明するほどの高い評価をまたもや受けることとなったのですね。

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 というわけで本作ですが、マンションの一室から大量の猫の死骸に囲まれた状態で女性の白骨化死体が発見された事件をきっかけとして始まっていきます。

 この事件を女性刑事である奥貫綾乃が捜査していくのと並行して、被害者と思われる鈴木陽子の過去が語られていくのですが、これが平凡な女性が泥沼な状況へと転落し続けていく壮絶な半生物語なのです。

 その内容というのが、格差社会や貧困ビジネス、ブラック企業など現代的な社会問題が身につまされるほどに蝕んでくるドラマ性を含んでいるので、デビュー作と同様の鋭さやリアルさがありつつも視点を変えて描いた社会派ドラマとしての読み応えがありました。

 しかもそこに事件の謎や綾乃自身のドラマが絡んでいき、さらにそんな物語が読む人の心に直接呼び掛けてくるかのように感じられる二人称(あなた)を用いて語られていくため、得体のしれない刺激や凄まじさがじわじわと浮かび上がり襲い掛かってくるような人間ドラマを圧倒されてしまうほどに味わうことができるのですね。

 とはいえ、ミステリ的な演出はあるとはいえデビュー作ほどミステリ要素を前面に押し出しているわけではないですし、作品の構成的にも万人が納得し楽しむことが出来るタイプではないので、大絶賛する人が多い割にはどこが面白いのかわからないという人も多くいそうな気がします。

 なので、謎や推理に溢れたミステリ作品や王道的展開のエンタメ作品として期待を高めるのではなく、一人の人間の半生を通して世間の裏で蠢く社会派ドラマが目の当たりにされるサスペンス作品や犯罪小説を堪能するつもりで読み始めるのがベストなのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★      鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★      主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★★     感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★      気軽に読める度 : ★★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “葉真中顕 ”関連記事 】

  > No.1078 「Blue(ブルー)」
  > No.1068 「W県警の悲劇」

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  > No.0922 「コクーン」(後日更新予定)
  > No.0913 「ブラック・ドッグ」(後日更新予定)
  > No.0792 「絶叫」
  > No.0643 「ロスト・ケア」


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