「このミス2015年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>
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前回は「このミス2015年版」ランキング(順位)予想の反省を<総論編>と<各論編>の2回に分けて書いてみましたが、今回は、“「このミス2015年版」にランクインしそうな対象作品を予測し事前に読むこと”自体の反省を行う「「このミス2015年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」を書いてみたいと思います。
と、その前に説明を加えますと、「このミス」の予想をするにあたって、自分が読んだ作品のみをその対象としました。
つまり、“ランクインしそうだな~”と思っていても読んでいなければ予想に入れていないので、“事前に読んだか読んでいないか”というのは、予想するのにとても重要になってくるわけなのですね。
なので、それに対する反省も、来年の予想の的中率を高めるためには、非常に重要となるのです。
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それではまず、「2015年版」で20位以内にランクインした20作品のうち、どのくらいの作品を事前に読んでいたのか、見てみましょう。
○:事前に読んでいた作品
▲:チェックしていたけど読めなかった作品
■:チェックしていたけど、入らないだろうと思って読まなかった作品
×:全くノーマークだった作品
* タイトル部分のリンク先は、Amazonの詳細ページ
01位 : ○ 満 願 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
02位 : ○ さよなら神様 / 麻耶雄嵩 <感想記事はこちら>
03位 : ○ 闇に香る嘘 / 下村敦史 <感想記事はこちら>
04位 : ○ 小さな異邦人 / 連城三紀彦 <感想記事はこちら>
05位 : ○ 機龍警察 未亡旅団 / 月村了衛 <感想記事はこちら>
06位 : ○ 土漠の花 / 月村了衛 <感想記事はこちら>
07位 : ○ ペテロの葬列 / 宮部みゆき <感想記事はこちら>
08位 : ○ 破 門 / 黒川博行 <感想記事はこちら>
09位 : ▲ 女 王 / 連城三紀彦 <感想記事はこちら>
10位 : ○ 異次元の館の殺人 / 芦辺拓 <感想記事はこちら>
11位 : ○ 貘の檻 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
11位 : ▲ 絶 叫 / 葉真中顕 <感想記事はこちら>
11位 : ○ 怒 り / 吉田修一 <感想記事はこちら>
14位 : ■ 喝 采 / 藤田宜永
15位 : ○ ゴースト≠ノイズ(リダクション) / 十市社 <感想記事はこちら>
15位 : ▲ 後妻業 / 黒川博行
17位 : ○ アルモニカ・ディアボリカ / 皆川博子 <感想記事はこちら>
18位 : ○ 殺意の構図 探偵の依頼人 / 深木章子 <感想記事はこちら>
19位 : ○ 虚ろな十字架 / 東野圭吾 <感想記事はこちら>
20位 : × イノセント・デイズ / 早見和真
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というわけで今年の読み逃しは5作品でした。
2009年版が8作、2010年版が4作、2011年版が6作、2012年版が4作、2013年版が2作、そして昨年の2014年版が3作の読み逃しだったので、ここ4年(2012年版以降)の中で一番悪い成績となってしまいました.....。
ただ少し言い訳をしてみますと、昨年まではランキングが出る前に“これはランクイン作品の(事前に)全読破を達成できただろう!”と自信満々なうえでの結果だったのに対し、今年は下半期、特に9~10月になかなか本を読む時間を作ることができなかったため、読んでおきたかったけれど読むことが出来なかった作品が今年は多かったのです。
なので、5作読み逃しというのは想定の範囲内でしたし、もっとひどい結果も覚悟していたので、残念ではあるけれどまあ納得の結果でもあったのですよね。
それでも読む本選びさえ的確であればもっと読み逃し作品数を減らすことはできましたし、来年以降もパーフェクトを目標とすることには変わりないので、5作品を何故に読み逃してしまったのかをきちんと検証して、来年の「このミステリーがすごい!2016年版」で“ランキング発表前にランクイン全作品読破済み”の達成に少しでも役立たせてみましょう。
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まず「▲:チェックしていたけど読めなかった作品」ですが、今年は「女王」(連城三紀彦)、「絶叫」(葉真中顕)、「後妻業」(黒川博行)の3作。
昨年亡くなった連城三紀彦は「このミス」実績のあるレジェンド作家なので、遺作となった未刊行作品は「このミス」のランキング予想をするしないに関わらず読んでおくべき作品ではあったのですが、今年3作出た連城作品のうちページ数の多い大長編2作が2015年版対象作品発行期限ギリギリの10月に発売されたのです。
上にも書いたように、9~10月にはなかなか本を読む時間を作れず、しかも8月までに発売されていた未読本も順番待ち状態だったため、(10月発売という時点で)予想する前に読むことが難しかったですし、特にこの「女王」は10月末発売だったのでさすがに無理でしたね(なのでランキングが発表される前の時点でも“どうせならちょっと発行日をずらして11月発売にしてくれればいいのに....”と思っていました)。
同じ理由で、昨年にNo.643「ロスト・ケア」で初ランクインを果たした葉真中顕のデビュー2作目「絶叫」も、読んでおくべき作品ではありましたが10月発売ということで結局読めず。
「後妻業」だけは8月発売ということで余裕がありましたし、直木賞を受賞した「破門」よりも高い評価を多く目にしていたので、これまた読んでおくべき作品だと認識していました。
ただ黒川作品はいつも一定の票数は集めるもののランクインまで惜しくも届かない順位となっていましたし、2年前に発表された「この警察小説がすごい! ALL THE BEST」で12位にランクインするなど今でも評価の高いNo.133「悪果」でさえ「このミス」(2008年版)では14位止まりだったので、「破門」と票割れしそうな今年も良くてランクインまであと一歩の位置になるのではないかと思い、読む優先順位を下げてしまったのですよね(なので「破門」のベスト10入り&2作同時ランクインという結果に驚いてしまいました)。
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続いて「■:チェックしていたけど、入らないだろうと思って読まなかった作品」ですが、今年は「喝采」(藤田宜永)の1作。
「このミス」で強い硬派なハードボイルド作品でしたし、「このミス」実績のある著者なので、余裕があれば読んでおきたいと思っていましたが、「理由はいらない」(1997年版18位)を最後に長いことランクインしていなかったこともあって、9~10月頃には読む対象からすっかり外れていました.....。
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最後に「×:全くノーマークだった作品」ですが、今年は「イノセント・デイズ」(早見和真)の1作。
かつて全くのノーマークだったNo.162「ジョーカー・ゲーム」が2位となったことから“月別ランクイン候補作品”という企画を始めたほどなので、それ以降はノーマーク作品のランクインがあってはならないし、ないだろうという自信もありました。
ただこの作品は、一応“月別ランクイン候補作品”のリストには載せていたものの、ジャンル的に対象だというだけでランクインの候補だとは少しも考えていませんでしたし、評判の良さも事前には把握できず、「このミス」より前に発表されたランキング(「本ミス」「文春」「早ミス」)のいずれにもランクインせず、「早ミス」に至っては1票も入っていなかったので、「このミス」のランキングが発表されて(初めてと言っていいくらいに)その存在に気付いたのです....。
なので、「このミス2015年版」対象作品の中から120作激選リストにももちろん載せておらず(他の「このミス」ランクイン作品および「本ミス」「文春」「早ミス」ランクイン作品は全て記載)、毎年「このミス」予想のために読む本を選んでいる自分としてはとても恥ずかしい結果となったわけですが、ただ“ランクイン作品を事前に読んでしまおう”ということに拘らないのであれば、読み逃す可能性の高かった傑作をこれから確実に読むことが出来るということで“嬉しい誤算”となるのですけどね。
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そして以上の反省を踏まえたうえでの来年に向けた対策・秘策としては、昨年も書いたように“8月までに発売された有力候補作品はなるべく8月までに読み終え、9~10月は発売直後の候補作品をなるべく多く読み漁るべき”なのと、あとは“月別ランクイン候補作品”に載せた作品は全てランクインの可能性を理由もなく捨てず先入観なしに評判などを吟味していくべき、といったところでしょうか。
というわけで今年も3回に渡って反省してみましたが、年々対象作品を読む数が減って来ているので、読む本を選ぶ精度をさらに上げて、予想の方も的中率を上げたいですね。
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