「この“ランク外作品”がすごい!2015年版」
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「このミステリーがすごい!2015年版」が発売され、ランキングが発表されたということで、これからランクイン作品を読んでみようと思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
2014年に発売された大量のミステリ&エンタメ作品の中から、読書のプロたちが選んだ作品がズラリと並んでいるわけで、まあ好みの問題はあるとはいえ、面白い作品揃いなのは間違いないでしょう。
しかし、だからといって“ランクインした作品は面白く、ランクインしなかった作品はつまらない”というわけでは決してなく、ランクインを逃した21位以下の作品の中にも、傑作が数多く秘められているのですね。
なのでここは、そんなランク外だった作品の中から、読んでおくべきお薦めの作品を何点か紹介してみたいと思います。
なお、選んだ基準は、自分が面白いと思った作品ではありませんでして、「このミス」でランクインまであと一歩だった作品(具体的には“21位以下の作品<17点以上>”の欄に掲載された作品)の中から、他のミステリランキング誌ではランクインした作品(「本ミス」は30位以内、「文春」「早ミス」は20位以内)および、「黄金の本格ミステリー(本格ミステリー・ワールド)」選出作品をピックアップしました。
「このミス」 ・・・・ このミステリーがすごい!
「本ミス」 ・・・・ 本格ミステリ・ベスト10
「文春」 ・・・・ 週刊文春ミステリーベスト10
「早ミス」 ・・・・ ミステリが読みたい!
「黄金」 ・・・・ 黄金の本格ミステリー選出(本格ミステリー・ワールド)
* 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです
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( このミス:21位 )
本作はどのミステリランキング誌にもランクインしていないのですが、やはり「このミス」で次点になった作品なので、例外的に紹介いたしましょう。
日本推理作家協会賞・短編部門受賞作を表題としたノンシリーズ短編集である本作は、受賞作のレベルが高いのはもちろん、その他もインパクトある刺激やブラックな遊び心などが込められた名作揃いなので、せめて「このミス」では(次点までいったのなら)ランクインしてほしかったですねェ。
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( このミス:21位、 本ミス:5位、 文春:14位、 早ミス:10位 )
昨年の「伊藤博文邸の怪事件」に続く“名探偵月輪シリーズ”の2作目である本作は、明治時代が舞台の連続殺人事件と圧巻の解決劇と現代的ともいえる真相とが見事に絡み合っているので、「このミス」以外は全てランクインした結果からも2014年を代表するミステリ作品であることは間違いないでしょう。
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○○○○○○○○殺人事件 / 早坂吝 <<当ブログ感想記事>>
( このミス:23位、 本ミス:6位、 文春:17位、 早ミス:7位 )
メフィスト賞受賞作である本作は、読む人を選びそうなバカミス系作品なのですが、本格ミステリ作品として高い評価を受けていることは「このミス」以外では全てランクインしていることからもわかるので、こちらも2014年を代表するミステリ作品の一つに違いありません。
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股旅探偵 上州呪い村 / 幡大介 <<当ブログ感想記事>>
( このミス:23位、 本ミス:30位 )
No.581「猫間地獄のわらべ歌」(2013年版13位)に続く“時代小説×本格ミステリ”の2作目ですが、本作は前作における(ジャンルの融合やメタ要素など)魅力的な要素を引き継いだうえに、股旅物やホラーなど新たな魅力も加わっているので、前作を楽しむことが出来た人には特にお薦めですね。
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偽りの殺意 / 中町信
( このミス:25位、 本ミス:26位 )
中町信は、2009年に亡くなった後にデビュー作「模倣の殺意」がヒットするなど未だに注目を集めているのですが、本作は単行本未収録の中短編集となっています。
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首折り男のための協奏曲 / 伊坂幸太郎 <<当ブログ感想記事>>
( このミス:27位、 早ミス:15位 )
緩やかな繋がりのある連作集である本作は、ジャンルや構成など様々なタイプを楽しむことが出来ますし、“これぞ伊坂ミステリ!”といった短編ミステリの面白さを心から味わうことが出来るのでは。
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オービタル・クラウド / 藤井太洋 <<当ブログ感想記事>>
( このミス:32位、 文春:9位、 早ミス:14位 )
宇宙開発&宇宙テロというSF的な舞台設定でありながら、様々なエンタメ要素により大迫力の物語を演出しているので、SF好き以外の人にも強くお薦めしたい作品です。
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相互確証破壊 / 石持浅海
( このミス:36位、 本ミス:26位 )
論理系本格ミステリ要素と官能的なエロ要素とが見事に融合しているという、ある意味で石持作品らしさの究極ともいえる官能ミステリ短編集です。
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大癋(べし)見警部の事件簿 / 深水黎一郎
( このミス:36位、 本ミス:18位、 早ミス:16位、 黄金:選出 )
アリバイ崩し・密室殺人・叙述トリック・警察小説などなど、ミステリ作品を形作る様々な要素を次々と切り捨てなぎ倒していく、本格ミステリというジャンルが好きな人に強烈な刺激を与える遊び心に溢れた連作集です。
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神の子(上・下) / 薬丸岳
( このミス:41位、 文春:17位 )
社会派ミステリ作家として定評のある薬丸岳による本作は、重いテーマをエンタメ的な演出で見事に心揺さぶる傑作へと昇華させた上下巻の大作です。
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神様の裏の顔 / 藤崎翔
( このミス:43位、 早ミス:18位 )
“元お笑い芸人が新人文学賞を受賞”ということで発売前から話題になった横溝正史ミステリ大賞受賞作ですが、元芸人らしいユーモア性とミステリ的トリックとが絶妙に掛け合わされた内容に対する評価も上々なので、“元お笑い芸人”という情報だけで低いレッテルを貼ってしまうのはもったいないでしょう。
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( このミス:48位、 本ミス:14位 )
昨年亡くなった連城三紀彦による未刊行長編作品ですが、本格ミステリ作家としての巧妙さと恋愛小説作家としての円熟味を同時に味わうことが出来るという、「このミス」4位のNo.743「小さな異邦人」、9位の「女王」とはまた異なる連城作品の魅力を堪能できる遺作の一つです。
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( このミス:50位、 早ミス:9位 )
東京の地霊的な存在が人間に乗り移って幕末から現代までの東京を生きていくという、かなり奇妙で不思議なスケールの大きい一代記物語である本作は、どちらかといえばエンタメよりも文芸的な読み応えとなっているものの、奥泉作品らしい奇想や遊び心に満ち溢れているので、ジャンル分けなど意味を成さないほどの規格外な魅力を堪能できるはずです。
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