『土漠の花』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.782
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.782
『土漠の花』 月村了衛
「このミス」2015年版 : 6位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本屋大賞」 5位
「週刊文春ミステリーベスト10」 15位
読始:2014.10.26~ 読終:2014.10.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年9月>
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ソマリアの国境付近で活動している、陸上自衛隊第一空挺団。
墜落ヘリの捜索救助に向かったところ、ヘリは見つかったものの墜落したのが足場の悪い危険な場所だったので、本格的な救助活動は翌日から行うことに。
そのため隊員が野営地で一息ついていると、そこに謎の女性が助けを求めて駆け込んできたため、事情を聞いていたその矢先、その女性を追って来た武装集団が自衛隊に対して襲い掛かって来て.....。
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というわけで本作は、遠きアフリカの地で活動中の自衛隊が襲撃され逃亡劇・迎撃戦を繰り広げるアクション大作なのですが、自衛隊に向かって襲撃してくる敵というのが、世界的に悪名高い戦闘のプロである現地の武装集団。
対する自衛隊は軍隊ではないので殺し合いの戦闘のための準備は(武器も覚悟も)持ち合わせておらず、実践訓練も本格的に行っていないため武力差は(人数も含めて)圧倒的に劣りますし、土地勘もなく現在の状況も正確には把握できていないため、この逃亡劇&迎撃戦は自衛隊にとってかなり過酷で壮絶で命懸けなものとなるのです。
そのため自衛隊が襲撃されたりそれを迎え撃つ場面では、(自分も隊員の一人になったかのように)手に汗握り心臓がバクバクしてしまうほどの緊迫感と圧倒感があるのですが、これが冒頭から終盤まで怒涛のごとく続いていくので、まさに物語全体がクライマックスであるかのような凄まじさなのですね。
とはいえ、著者の代表作である“No.390「機龍警察」シリーズ”と比べると如何せん物語の重厚さや小説としての読み応えでは劣ってしまうので、“やっぱり機龍警察シリーズの方が良かった.....”という感想も多く聞かれそうではあります。
ただ、物語の冒頭を自衛隊が襲撃される場面に設定したことからも、“機龍警察シリーズ”とは違って物語全体のスピード感や冒険小説としてのシンプルな面白さを重視しているのがわかるので、“機龍警察シリーズ”と比較したり意識したりせずに本作ならではの面白さを無防備な状態で体感するのがベストなのではないでしょうか。
なお、内容的にやはり、近年激しい議論が繰り広げられている集団的自衛権問題との関連が気になると思うのですが、政治的なメッセージ性はほとんどないのでエンタメ作品として純粋に楽しむことができますし、その一方で(今まで全く興味がな方人が)集団的自衛権について考えてみる良いきっかけになるかもしれませんね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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