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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.776
『影を買う店』 皆川博子
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.9.12~ 読終:2014.9.16
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年11月>
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皆川博子は、作家人生40年を超えるベテラン作家なのですが、その間に年単位で休養を挟んだり作品の発売期間が長く開くこともなく、各年代ごとに名作を生み出しています。
しかも、2011年に発売のNo.480「開かせていただき光栄です」がミステリ系ランキングで軒並み上位にランクインして本格ミステリ大賞を受賞、さらに翌年以降も話題作を次々と発表し、作家単位で表彰される日本ミステリー文学大賞を受賞するなど、80歳を超えた現在こそがミステリ作家としての全盛期と言ってしまってもいいくらいの活躍を見せているのだから本当に凄いですね。
このようにミステリ作家として名が知れ渡っている一方で、幻想小説作家としての評価も昔から高く、それは近年のミステリ作品の中に登場する幻想小説的な描写の数々からも実感できると思います。
ただ幻想小説は短編や掌編小説が多いため、なかなか一冊の作品として世に出ることはないのですが、70~80年代の作品を中心とした『鳥少年』、90年代の作品を中心とした『結び』に続く形で、00年代以降に発表された幻想系短編を集めた本作が発売となりました。
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というわけで本作ですが、「影を買う店」「使者」「猫座流星群」「陽はまた昇る」「迷路」「釘屋敷/水屋敷」「沈鐘」「柘榴」「真珠」「断章」「こま」「創世記」「蜜猫」「月蝕領彷徨」「穴」「夕陽が沈む」「墓標」「更紗眼鏡」「魔王」「青髭」「連祷」の21編を収録。
長編を含む皆川作品を読めば、作中から溢れ出る色彩や香りや匂いなど独自性の強いイメージを感じることが出来ると思うのですが、そんな皆川作品を特徴付ける要素のみを濃密に凝縮したかのような作品が集められています。
そのため、皆川作品だからこそ味わうことのできる耽美で妖艶で退廃的な作品世界に魅せられ惑わされ翻弄されること必至ですし、詩的な作品があったり、文字のレイアウトが芸術的な作品や、写真家とコラボした作品があるなど、物語としても小説の形式としてもバリエーションに富んだ作品世界を心ゆくまで堪能できるのですね。
とはいえ、ストーリー展開は筋が通ったものではなく抽象的な表現も多いなど、幻想小説の中でもかなり本格派な作品が多いため、誰もが楽しむことのできる作品集というわけではないので、物語そのものを期待するよりは、幻影と官能とで包まれた妖しき皆川ワールドにどっぷり浸かるつもりで読む方が良いのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
> No.776 「影を買う店」
> No.723 「アルモニカ・ディアボリカ」
> No.692 「海賊女王」
> No.547 「双頭のバビロン」
> No.480 「開かせていただき光栄です」
> No.137 「倒立する塔の殺人」
> No.007 「死の泉」
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