『○○○○○○○○殺人事件』 早坂吝 > 「このミス」完全読破 No.773
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.773
『○○○○○○○○殺人事件』 早坂吝
「このミス」2015年版 : 23位
受賞(候補) : 「メフィスト賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
「エアミス研ランキング」 6位
「ミステリが読みたい!」 7位
「週刊文春ミステリーベスト10」 17位
読始:2014.9.4~ 読終:2014.9.4
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : ノベルス <2014年9月>
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記念すべき第50回(50作目)のメフィスト賞受賞作です。
かつてのメフィスト賞受賞作といえば、(他の賞では選ばれないような)異色・怪作・実験作的な本格ミステリのイメージがありましたが、やはり時代の流れもあってか、ここ数年はミステリと他ジャンルとを交えた作風だったり、ミステリ要素が全くないような作品の受賞が多くなっています。
しかし本作は、このインパクトあるタイトルからも予測出来てしまうように、かつてのメフィスト賞らしさが詰め込まれている本格ミステリ作品に仕上がっていました。
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まず気になるこのタイトルですが、“タイトルの○○○○○○○○部分に何の言葉(ことわざ)が入るのか”を読者に出題する“読者への挑戦状”が冒頭にありまして、つまり本作は“犯人当て”や“トリック当て”や“動機当て”ではなく前代未聞の“タイトル当て”ミステリなのです。
そんな奇妙奇天烈な“読者への挑戦状”から始まる物語は、舞台・設定・事件・展開などクローズド・サークル系本格ミステリの定番が繰り広げられていきまして、クライマックスで驚きの真相が明らかにされた途端に(予想通りに)バカミスへと変貌するのですね。
その真相は“ビックリするのと同時に衝撃”タイプというよりは“ビックリした直後に脱力”タイプですし、作風はとにかく軽くて下ネタも多いですし、タイトルがわかったからといって何らかの仕掛けが炸裂するわけではないので(なので“タイトル当て”はそこまで気にせずに読んで構わないと思います)、こういったバカミス的トリック&真相&物語が許容範囲ではない人であればいわゆる“壁投げ本”となってしまう可能性が高いかもしれません。
とはいえ、犯人の犯行内容や隠蔽工作、探偵役の推理やいくつもの伏線などが、この驚きを誘う真相と(くだらないながらも)見事に繋がっていたり、クローズド・サークル系本格ミステリの定番を読者にわざわざ教えながらもそれを利用して捻りを加えるなど、本格ミステリならでは(本格ミステリだからこそ)の遊び心が存分に仕掛けられていますし、そこがまさに本作の最大の魅力となっているのです。
なので、正統派な本格ミステリのみを好む人には合わないだろうし、バカミス的面白さを受け入れられない人には“駄作”の一言で切って捨てられてしまいそうではありますが、バカバカしくてくだらない(本格ミステリ的)遊び心を楽しむことが出来る人であれば、このタイトルも中身も一風変わった本作を心から堪能できるのではないでしょうか。
ちなみに自分は、期待を高めすぎて読んでしまったこともあってか、真相が明かされてから読み終えた直後までの間は“ちょっといまいちだったかな.....”と思っていたのですが、読後しばらく経ってからいくつかの場面を思い出していくうちに、“これは(バカミス的に)とんでもない作品だったな~”と、本作に対して“(くだらなすぎて)面白い!”と感じる気持ちが後からじわじわと湧き上がってきました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “早坂吝”関連記事 】
> No.975 「双蛇密室」
> No.893 「誰も僕を裁けない」
> No.823 「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」
> No.773 「○○○○○○○○殺人事件」
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「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
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