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2014年9月24日 (水)

『半導体探偵マキナの未定義な冒険』 森川智喜 > 「このミス」完全読破 No.771

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.771

 『半導体探偵マキナの未定義な冒険』 森川智喜

   「このミス」2015年版 : 95位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 30位

   読始:2014.8.25~ 読終:2014.8.27

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年6月>

半導体探偵マキナの未定義な冒険半導体探偵マキナの未定義な冒険
森川 智喜

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 森川智喜は、綾辻行人・法月綸太郎・我孫子武丸・麻耶雄嵩ら新本格以降にデビューした大人気ミステリ作家、近年でも“ルヴォワールシリーズ”の円居挽(直接の先輩)などを輩出している、京大ミス研(京都大学推理小説研究会)出身の作家です。

 2010年にラノベ系レーベルの講談社BOXから発売された“名探偵三途川理シリーズ”の1作目「キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人」でデビューし、昨年(2013年)には同シリーズを2作と「一つ屋根の下の探偵たち」の計3作を発表すると、デビュー2作目(かつシリーズ2作目)の「スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ」で早くも本格ミステリ大賞を受賞。

 そして、ミステリ作家としての注目度が一気に上がった中で発売されたのが、受賞第一作である本作です。

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 主人公は、天才科学者である祖父を持つ高校生の坂巻正行。

 この祖父は現役引退後に世間には公表せず人間そっくりのAI搭載探偵ロボットを開発していたものの、その祖父が急死したのと同時に、3体の探偵ロボットが何らかのエラーを抱えたまま研究所の外へと飛び出してしまう緊急事態に。

 そこで正行は、唯一正常に機能している残りの1体・マキナと共に、3体の探偵ロボットの行方を追うことになります。

 AI搭載探偵ロボットというのは文字通り探偵行為に特化した能力を有しているので、行方不明となった探偵ロボットたちは街中で自分勝手に探偵行為を始めるのですが、やはりエラーを起こしているためにその行動は(正常なマキナと比べるまでもなく)常識を逸したものとなっています。

 ただその非常識な行動というのは、探偵としての一部分がバグっている(おかしくなっている)ために起こっているので、正行とマキナは“エラーしている部分はなんなのか”=“(普通の探偵とは異なる)探偵的行動倫理はなんなのか”を3体ごとに推理し行動を予測しつつ、見つけ出して確保しようと悪戦苦闘するのです。

 そのため、正常な探偵の正常な探偵行為によって異常な探偵の異常な探偵行為の謎を推理するという、“探偵”自身について焦点を当てた探偵論的側面もあり、それでいてキャラクター小説としての面白さもあるなどライトで読みやすい雰囲気が作られているので、そんな探偵小説としての前衛的・実験的・現代的な試みに作者らしさが溢れ出ていました。

 “探偵が事件の謎を解く”という正道な本格ミステリ(謎解き)部分はそこまで意外性があったするわけではないので、その部分に期待を込めすぎると本作の魅力を感じられないと思いますが、(特殊な設定を絶妙に活かして)探偵自身や探偵の行動様式などの特異性を浮かび上げていく部分に注目するならば読み応え抜群となるに違いないので、評価の高低が大きく分かれるというよりは、そもそもの評価の基準ポイント自体が読む人によって大きく分かれる作品なのかもしれませんね。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★
 熱アクション度  : ★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★
 下ネタエッチ度 : ★★      感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★     気軽に読める度 : ★★★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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