『ナウ・ローディング』 詠坂雄二 > 「このミス」完全読破 No.770
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.770
『ナウ・ローディング』 詠坂雄二
「このミス」2015年版 : 124位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.8.22~ 読終:2014.8.23
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年7月>
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No.595「インサート・コイン(ズ)」に続くシリーズの2作目です。
詠坂雄二は、(シリーズものではない作品も含めた)ほとんどの作品で共通する舞台や人物などが登場するという、いわゆる作品間リンクを積極的に仕掛けるタイプの作家で、本作でも他作品との関連が多く見られます。
なので、シリーズ前作である「インサート・コイン(ズ)」はもちろん、「遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?」やNo.403「電氣人閒の虞」などを先に読んでいれば、(読んでいない場合と比べて)また違った面白さを味わうことが出来るのではないでしょうか(本作から読んでも問題はないと思いますが、「遠海事件」だけはあらかじめ読んでおいた方がいいかもしれません)。
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というわけで本作は、「もう1ターンだけ」「悟りの書をめくっても」「本作の登場人物はすべて」「すれちがう」「ナウ・ローディング」の5編から成る連作集です。
前作では『スーパーマリオブラザーズ』や『ドラゴンクエスト』などテレビ(ビデオ)ゲーム全盛期の伝説的タイトルを基にした物語でしたが、本作ではテレビゲーム全盛期を過ぎて(スマホゲームや携帯型ゲームなどの登場により)拡散し先鋭化した近年のゲーム環境が反映された事象を基に語られていきます。
具体的には、ゲームをクリアする時間を競うRTA(リアルタイムアタック)や、ダウンロード販売されている同人エロゲ、携帯型ゲームを使ったすれ違い通信などで、これらに関わるライターやクリエーターやプレイヤーたちの物語なのです。
やはり前作と比べても題材がかなりマニアックで現代的ですし、その分前作にあったようなテレビゲームに対する華やかなイメージは見当たらず、(国民的ブームが過ぎ去ってしまった後の)現代ゲーム事情を通すことで時代に取り残された寂しさや切なさが漂っているため、閉塞感や倦怠感で覆われているような雰囲気となっています。
ただそれ故に、陰鬱として焦燥感が溢れるような詠坂作品特有の青春物語がより凄みを増し、青春時代を懐古する感情などを鋭く刺激するほどの読み応えを生み出しているのですね。
ゲームに興味がないと話に入って行きづらそうですし、過去作品との繋がりも多く、前作と比べてミステリ要素は薄くなっているなど、読む人をかなり選ぶ題材であり内容なのですが、青春物語としてのこの独特な読み味は本作でしか堪能できないと思うので、ゲーム好き&青春物語好きであるならばぜひとも手にしてほしい作品です。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “詠坂雄二” 関連記事 】
> No.0770 「ナウ・ローディング」
> No.0728 「亡霊ふたり」
> No.0595 「インサート・コイン(ズ)」
> No.0403 「電氣人閒の虞」
> No.0372 「ドゥルシネーアの休日」
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