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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.767
『私に似た人』 貫井徳郎
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「直木三十五賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.8.8~ 読終:2014.8.14
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年4月>
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舞台となるのは、“小口テロ”が頻発している日本。
この“小口テロ”というのは、自らの命を犠牲にして無差別殺人を行う小規模なテロであるものの、集団による共通した思想性の基に実行されるのではなく、自身の苦しい生活的現状とそれを招いた社会に対し不満を持つ個人によって無計画に実行されるという特徴が。
しかし、全く繋がりなどないと見られていたこれらのテロ事件に、共通したある人物の存在が浮かび上がって来て.....。
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というわけで本作ですが、「樋口達郎の場合」「小村義博の場合」「二宮麻衣子の場合」「北嶋和歌子の場合」「猪原公平の場合」「伊藤圭輔の場合」「川渕真弓の場合」「川渕政昭の場合」「奈良坂俊和の場合」「片倉亮の場合」の10編から成る連作集です。
各章のタイトルにもなっている登場人物たちはいずれも日常生活の中で小口テロと関わることになるのですが、事件そのものに直接関係したり、事件を捜査する側であったり、ただニュースで事件について知っただけだったりと、小口テロとの関わり度合いにはそれぞれで大きな違いがあります。
そしてこの小口テロを起こすまでに至るのは、ワーキングプアや格差社会など社会的弱者な貧困層に属している人物たちで、その鬱屈したやり場のない怒りがテロ行為へと結びついていくまでのドラマがリアルに描かれていきますし、しかも実行者だけでなく(小口テロや格差社会などに対して)様々な立場にあり感情を持つ人物たちの目線により描かれることで、社会派ドラマとしての重厚感が生み出され読み応えを増していました。
ただそんな社会派な部分だけではなく、黒幕に対する謎が全編を通して組み込まれていたり、各話ごとに捻りの効いたストーリー展開で(読者を)惹き付けるなど、エンタメ的な魅力も持ち合わせています。
なので、ド派手なエンタメ性や長編作品としての完成度(クライマックスの盛り上がりなど)を過剰に期待してしまうと物足りなく感じてしまうかもしれないものの、そうでなければ社会派ドラマの中に秘められた問題提起に考えさせられつつエンタメ作品としての面白さも同時に堪能出来るのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.337 「明日の空」
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