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2014年8月29日 (金)

『東京自叙伝』 奥泉光 > 「このミス」完全読破 No.766

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.766

 『東京自叙伝』 奥泉光

   「このミス」2015年版 : 50位

   受賞(候補) : 「谷崎潤一郎賞」受賞

   総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート

   年度ランキング : 「Twitter文学賞」 4位
              「ミステリが読みたい!」 9位

   読始:2014.8.3~ 読終:2014.8.7

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年5月>

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奥泉 光

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 タイトルの通り、本作の主人公は“東京”です。

 とはいえ、幕末から始まって明治・大正・昭和・平成と流れていく中でそれぞれの時代を生きた6人の人間の物語ではあるのですけどね。

 それでは何故に“東京が主人公”なのかと申しますと、この6人には“東京の地霊”とでも言うべき存在が(代々受け継がれていくかのように)憑いているからなのです。

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 この“東京の地霊”というのは、この6人だけでなく他の様々な人物たち、さらにはネズミを始めとした様々な動物たちにも憑きますし、“東京の地霊”とはいっても本人が“(自分は)東京の地霊のようなものなのではないか”と推測しているだけなので、実際のところは誰にもわからない何とも不思議な存在なのです。

 この地霊(または地霊に憑かれた人間)の特徴としましては、その時代の権力や流行の中枢に身を置くことが出来るほどの才能・行動力・運があり、しかも参謀的な性格でアイデアマンでもあるため、東京(日本)を揺るがすほどの歴史的な出来事や新発明に直接絡んだり間接的に関わったりすることが多いです。

 ただその一方で、自分の行動により東京や周りの人々がどんな酷いことになっても構わないという(感情の一部が欠損したかのような)冷酷無比で無責任な面も持ち合わせているため、トラブルメーカーとなり事態をとんでもない方向にもっていったりもするのですね。

 そんな“東京の地霊”が自分の人生を振り返るように語っていく異色で奇天烈な物語を奥泉光が書いて面白くならないわけがなく、コミカルで楽しい場面も多くありながら時にシニカルで(本作だからこその)社会風刺が絶妙に効いていますし、主に東京を舞台としてそれぞれの時代を生きた人間たちの“一代記×6人分”としても、幕末以降の東京における興廃の歴史が描かれる東京史としても、その読み応えは一級品だし唯一無二の魅力に満ち溢れているのは間違いないでしょう。

 とはいえ、作風的に誰もが楽しむことが出来るタイプではないですし、エンタメ的な内容ではないので「このミス」直球なジャンルではないですが、このジャンル分け不能な面白さはハマる人ならとことん好きになりそうなので、奇想的遊び心や壮大な年代記をじっくりと味わうのが好きな人に特にお薦めしたくなる作品でした。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★        鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★
 下ネタエッチ度 : ★★      感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★★   気軽に読める度 : ★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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