『代償』 伊岡瞬 > 「このミス」完全読破 No.763
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.763
『代償』 伊岡瞬
「このミス」2015年版 : 73位
受賞(候補) : (「山田風太郎賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.7.24~ 読終:2014.7.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年3月>
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父母と共に暮らす奥山圭輔は、平凡でありながら幸せな日々を過ごしている小学生。
しかし、圭輔が五年生になった頃、母の遠縁である浅沼道子が近所に引っ越してきて、その息子で圭輔と同じ歳の達也と共に圭輔の家を度々訪れるようになったため、この親子に対し初対面から薄気味悪さを感じていた圭輔は、浅沼親子がやって来る度に嫌な気持ちに。
そんなある日、達也の父母が仕事の関係で大阪に一週間滞在するため、その間奥山家で達也を預かることになったものの、この時に圭輔の人生を大きく左右するような出来事が起きてしまい.....。
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というわけで、第一部は少年時代の主人公・圭輔の物語なのですが、幸せな人生を送っていた少年が過酷で悲惨な暗黒人生へと堕ちていく過程が描かれていきます。
その描写はそこまでエグかったり暴力的だったりはしないものの、先に進むにつれて主人公が嫌な目に合いどん底に向かって転落していくのが予想できてしまうため、読み進めるのがかなり辛くなってしまうほどのイヤミス的読み味となっていました。
そして第二部に入ると、大人に成長し弁護士となった圭輔の物語となりまして、強盗致死事件の被告として収監されている達也から弁護の依頼が来たのをきっかけに、再び達也の魔の手が圭輔に絡みつこうと迫ってくるのです。
この達也というのが、一見するとそこまで悪人とは思えないものの、実は自分の手は汚さずに周囲の人々を巧みに操って(自らの快楽のためだけに)他人を貶め破滅させるという頭脳派鬼畜人間でして、主人公側からすると何を考えているのかも何を仕掛けてくるのかも予測付かないこともあり、かなり不気味で相対するのは難しいと思わせるほどの(負の存在感が強烈な)悪役なのですね。
そんな小学生時代からの腐れ縁である二人を中心に描かれていく物語は、前半部分の暗雲とした雰囲気を吹き飛ばすようなすっきりとしたエンタメ的カタルシスが終盤に待ち受けているわけではないですし、そもそも前半のイヤミス的展開は本当に読んでいて辛くなってしまうため、人をかなり選ぶ作品だと思います。
なので、酷い目に合わされる主人公側に感情移入しながら読み進めるよりは、犯罪者とそれに立ち向かう者との緊迫感溢れるぶつかり合いを中心としたクライムサスペンス劇として(物語を見渡す目線を少し引いた位置で保ちながら)読んだ方が、本作から放たれる刺激的で重圧感のある魅力や面白さをしっかりと受け止めつつ堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.805 「乙霧村の七人」
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