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2014年8月 8日 (金)

『寂しい丘で狩りをする』 辻原登 > 「このミス」完全読破 No.759

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.759

 『寂しい丘で狩りをする』 辻原登

   「このミス」2015年版 : 62位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2014.7.1~ 読終:2014.7.4

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年3月>

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辻原 登

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 かつてレイプ被害者となった野添敦子は、その犯人であり自分に対して逆恨みしている押本史夫が間もなく出所してくることを知り怯える日々。

 そんな中、知人に紹介された女性探偵・桑村みどりに、出所した押本の尾行調査を引き受けてもらうことに。

 しかし、みどり自身も暴力的な元恋人・久我にストーカーのように付きまとわれていて.....。

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 というわけで本作は、理不尽な理由により追われる女&追う男が二組登場するクライムサスペンス作品です。

 女側の一人にはその道のプロである探偵の協力者がいて、もう一人はその探偵自身なので、逆恨み男&ストーカー男に対する防御体制は本格的なものです。

 その一方で男側の二人は、(行動を共にするわけではないものの)どちらも犯罪者ならではの悪賢い知能戦略と暴力的な行動戦略で女側に対し恐怖を伴って追い詰めていくので、この両者の危機迫るほどの駆け引きにはかなりの迫力とスリルが感じられました。

 そんな犯罪的追走劇の合間には、映画のフィルムエディターとして働いている敦子が戦前映画の幻のフィルムを発見&修復して再上映する話や、元映写技師である押本が当時を懐古したり出所後に映画館で働くエピソードなど、サスペンス部分とは直接関わらないような映画に関する逸話が盛り込まれているのですが、そこだけ抜き出しても興味深くて面白いので、そんな所からも純文学系作家であることが窺えますね。

 ただこれをエンタメサスペンスとしてみると、息詰まるようなサスペンス劇の流れるような勢いを堰き止めてしまっているようでもあるので、この(映画関連)部分を許容できるのか余計なものとみるのかで作品全体の評価がはっきりと別れてしまいそうですし、やはりエンタメとしての完成度はそこまで高くない(というか元々そういう部分で勝負をしていない)ように思います。

 なので、こういったタイプの作品が好きな人であれば問題なく楽しむことができるはずですか、ちょっと心配な人ならば、“純文学系作家が書いたクライムサスペンス”で“エンタメ的サスペンス展開のみが繰り広げられるわけではない”ということを最初から認識したうえで読めば本作の魅力を充分に堪能できるのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★★★    主キャラ魅力度 : ★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★
 下ネタエッチ度 : ★★★     感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★      気軽に読める度 : ★★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


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