『少年検閲官』 北山猛邦 > 「このミス」完全読破 No.758
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.758
『少年検閲官』 北山猛邦
「このミス」2008年版 : 29位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 16位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2014.6.24~ 読終:2014.6.30
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2007年1月>
少年検閲官 (創元推理文庫) 北山 猛邦 東京創元社 2013-08-21 売り上げランキング : 188097 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
北山猛邦は、メフィスト賞受賞作である「『クロック城』殺人事件」で2002年にデビューすると、その後もこの“城シリーズ”作品を計4作発表し、その作風から“物理トリックの北山”と称されていました。
そして“城シリーズ”以外&講談社ノベルス以外では初となる作品が2007年に発表された本作だったわけですが、「本ミス」にランクインしただけでなく、「このミス」でもランクインこそ逃したもののあと一歩の29位となるほどに票が入るなど、それまで以上の評価を得ることになりました。
なお、本作は三部作として構想されていて、続編(2作目)のNo.799「オルゴーリェンヌ」は本作と同じ2007年中に発売出来ればと考えていたそうなのですが、改稿などに時間がかかっているようで2014年夏現在でもはっきりとした発売予定は出てきていません。
とはいえ、最近になって“もうそろそろ発売かも!?”といった情報が出て来ているので、2作目が発売される前にまずはシリーズ1作目である本作を読んでおくことにしたのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
物語の舞台となるのは“書物類の所有”が禁止された世界で、旅をしている英国人の少年・クリスが主人公。
作品の雰囲気としてはファンタジー感が溢れていて童話的な趣きがあるのですが、クリスが訪れた(周囲から隔離された立地にある)町では奇妙な言い伝えがあったり謎めいた殺人事件が起きたりするので、そんなファンタジーと本格ミステリが溶け合っている雰囲気に(後の作品にもみられる)北山作品らしさが感じられました。
そういった(好みは分かれそうだけれど)他作品では味わい難い独特な魅力が溢れる世界観の中で、クリスが巻き込まれることになる事件の謎もほどよく深まっていき、盛り上がを見せて来た所で登場するのが、“検閲官”であり本作の探偵役である少年・エノ。
本作はいわばこの探偵役・エノとワトソン役(っぽい)・クリスの物語でして、二人の少年による探偵としての活躍が、謎を解く者同士による友情(青春)物語的な要素なども絡めつつ描かれていくので、探偵役の出てくる本格ミステリとしての直球に近い読み味を楽しむことが出来る思います。
ただその一方で、“書物の所有が禁止されている=人々がミステリ(殺人事件の謎)に接する機会がほとんどない”という特殊設定世界であることで、殺人事件に関連したあらゆる事象も探偵の行動も普通の本格ミステリとは異なってきますし、この特殊設定世界を絶妙に活かしたトリックが仕掛けられていたりもするので、本格ミステリの定番から逸れてしまうような世界を(意図的に)作り上げたからこその刺激的な面白さも堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “北山猛邦” 関連記事 】
> No.1056 「千年図書館」
> No.0799 「オルゴーリェンヌ」
> No.0758 「少年検閲官」
> No.0688 「猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条」
> No.0530 「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」
> No.0451 「私たちが星座を盗んだ理由」
> No.0315 「蝦蟇倉市事件 2」
> No.0141 「踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿」
「虚ろな十字架」東野圭吾 <<< PREV/NEXT >>> 「寂しい丘で狩りをする」辻原登
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 「天馬のテニス」 助川祐司 > ジャンプNEXT!! 2014 vol.4 | トップページ | 「バナナマンのバナナムーンGOLD」本編&Podcast プレイリスト(2014年8月) »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)