『バイリンガル』 高林さわ > 「このミス」完全読破 No.756
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.756
『バイリンガル』 高林さわ
「このミス」2014年版 : 43位
受賞(候補) : 「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2014.6.16~ 読終:2014.6.20
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2013年5月>
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2013年の“ばらのまち福山ミステリー文学新人賞”受賞作であり、高林さわのデビュー作でもあります。
とはいえ実はこれ以前にも実績のあった作家でして、36歳だった1981年に「ワバッシュ河の朝」("高林左和"名義)で“小説現代新人賞”を受賞した経歴があるのです。
しかし当時は出版するまではいかず、小説家の道を諦めて中学教師や塾講師の職に付いていたそうですが、退職を機にミステリ小説の執筆を再開して、本作にて受賞を果たし、約30年越しという念願の単行本デビューとなったのですね。
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舞台となるのは現代の日本で、永島聡子と一人息子・武頼の元に、ニーナと名乗る女性が訪れて来たところから物語は始まります。
聡子が30年前に住んでいたアメリカで巻き込まれた誘拐事件の被害者だったのが当時3歳だったニーナで、事件のことを知りたいと言うニーナに対し、聡子が過去の記憶を呼び起こしつつこの誘拐事件について語っていきます。
“ばらのまち福山ミステリー文学新人賞”というのは、島田荘司が一人で選考委員を務めているということからも他の新人賞と比べても受賞作の特徴がはっきりと出やすいように思うのですが、本作も過去の受賞作の傾向と同様に、(新人賞受賞作ながら)大人向けな本格ミステリ作品に仕立てられていました。
そんな本作の一番の特徴といえば“暗号ミステリ”でして、しかもただの暗号ではなく“言語学(音声学)”を暗号的に使用しているところに、“これを本格ミステリの仕掛けに使うとは!!”と思わず感心してしまうほどの(本作ならではの)暗号ミステリ的魅力が形作られているのです。
まあやはりデビュー作ということもあって、(選評にもあるように)“言語学(音声学)”を暗号ミステリとして最大限に活かすまではいっていなかったように感じましたし、図解を使った暗号説明も万人が理解できるものではなく、暗号ミステリ以外の部分(物語や文章など)も好みが分かれそうな作風なので、読む人を選ぶタイプの作品だったように思います。
それでも、この作風が合う人であれば最後までサプライズが用意されているこのサスペンスミステリを堪能できるだろうし、なにより暗号ミステリとして真新しい題材を楽しむことが出来る人であれば知的好奇心を刺激されるはずなので、少しでも興味があるならば読んでみる価値は大いにあるでしょう。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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