『カマラとアマラの丘(向こう側の遊園)』 初野晴 > 「このミス」完全読破 No.754
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.754
『カマラとアマラの丘』 初野晴
* 文庫化の際に『向こう側の遊園』に改題
「このミス」2013年版 : 37位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位
読始:2014.6.13~ 読終:2014.6.15
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年9月>
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閉園してしばらくが経ち、解体に多くの費用がかかるため土地の買い手がなく廃墟となった元・遊園地。
この地には謎の青年がいて、園内に作られた秘密の動物霊園を守っているという。
そして、“自分の一番大切なものを青年に差し出せば、どんな動物でも葬ってくれる”との噂を聞き付けた訳ありの人々が、動物と共に次々とこの遊園地にやって来て.....。
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というわけで本作ですが、「カマラとアマラの丘」「ブクウスとツォノクワの丘」「シレネッタの丘」「ヴァルキューリの丘」「星々の審判」の5編から成る連作集です。
初野晴といえばNo.268「退出ゲーム」を始めとした学園青春ミステリの“ハルチカシリーズ”が人気ですが、本作はもう一つの得意ジャンルであるファンタジー色溢れるミステリ作品となっています。
物語としては、何らかの理由により動物(ペット)の最期の声を聴きたい人々と、動物の声を聴くことが出来る墓守の青年との交流が中心となっていくのですが、その中で(人間と深い関わりを持つ)動物と人間との関係性が描かれていきます。
ただそれは“人間とペット”というよく目にする関係だけでなく、知っていながらも目に蓋をしてしまうようなタブー的関係なども眼前に晒してくるので、人間と動物の関係について思わず考えさせられてしまうような問題提起的読み応えも感じられました。
そんな物語の各話では、驚くべき仕掛けがあったり、謎が解かれていくことで作品テーマをまじまじと実感できるような意外性のある真相が浮かび上がってきたりもするので、ミステリ作品としても(ドラマ性との絡み合い度合いも含めて)素晴らしい内容であったと思います。
ファンタジー寄りの作品とはいえ現実的な社会風刺もありますし、人間と動物(ペット)が絡む物語といってもほのぼの感動ものというよりは結構えげつないような内容も多いので、期待する方向性を間違えてしまうと気持ちが乗り切れないかもしれないものの、そうでなければこの“人間と動物との関わり”を鋭く描くドラマ性とミステリトリックとが絶妙に混じり合った本作の魅力を充分に堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “初野晴”関連記事 】
> No.550 「千年ジュリエット」
> No.386 「空想オルガン」
> No.269 「初恋ソムリエ」
> No.268 「退出ゲーム」
> No.199 「トワイライト・ミュージアム(トワイライト博物館)」
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