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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.753
『ケモノの城』 誉田哲也
「このミス」2015年版 : 145位
受賞(候補) : (「山田風太郎賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 11位
読始:2014.6.12~ 読終:2014.6.12
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年4月>
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誉田哲也は、テレビドラマ化された“姫川玲子シリーズ(ドラマでの共通タイトルは「ストロベリーナイト」)”や“ジウシリーズ”、青春小説“武士道シリーズ”などが代表作である人気売れっ子作家です。
しかし、そんな“多くの作品がメディア化されている作家(青春小説作家)”のイメージからすると意外にも、結構えげつない暴力描写が度々出てくる作家でもあるのです。
そして本作ですが、実際に起きたある殺人事件をモデルにした作品でして、その異常すぎる犯罪内容から“えげつない暴力描写”がメインとでも言うべき内容なので、さすがに本作でのメディア化は難しいのではないでしょうかね。
なお、モデルになった“実際に起きたある殺人事件”が何なのか知ってから読むと、犯行内容や大体の展開が予測出来てしまい、知らずに読んだ場合と比べると驚きや意外性を感じにくくなると思うので、“実際に起きたある殺人事件”についてまだ知らないのであれば、単行本の帯やネット上での作品情報、この記事のこれより下などを見る前に本作自体を読んでしまうことをお薦めします。
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警察に身元保護を求める通報があり、警官がその場に行ってみると、そこには全身に痣や火傷跡があり足の爪が一枚もない少女の姿が。
住んでいたマンションの一室で男女から暴行を受けていたと言うその少女は、自分の身に起きたとんでもない状況を話し始め、さらにマンションの一室からは驚くべきモノが見つかって.....。
というわけで本作は、あまりに残虐非道で鬼畜的犯行だったことから報道規制が掛けられたため、とんでもなくセンセーショナルな事件なのに事件の詳細はもちろんこの事件があったことすらあまり(世間に)知られていないという、2002年に起きた北九州監禁殺人事件がモデルとなっています。
そのため、監禁・マインドコントロール・虐待・拷問・殺人・死体解体などの鬼畜的犯行が描かれていくことになるのですが、平山夢明のエログロ作品や平野啓一郎のNo.625「決壊」における鬼畜的犯行などと比べると、読む人にまで襲い掛かってくるような禍々しいほどの暴力的迫力の面においてはそこまで強烈ではなかったように感じました。
ただ、これが現実に起きた事件がモデルだという前提知識があるからか、過剰に演出したり煽ったりすることなく淡々と描かれていくことでよりリアルな薄気味悪さやおぞましいほどの狂気が作中から湧き上ってくるように感じましたし、結末の曖昧さもあって得体のしれない恐怖に怯えるようなホラー的な不気味さもより増していたように思います。
それに、事件を捜査する刑事の物語や事件との関わりが不明な物語が絡んで来ることで、サスペンス・ミステリ・警察小説などの要素が絶妙に加わり、エンタメ的な読み応えがしっかりと生み出されていたのはさすがでしたね。
というわけで、こういった鬼畜・拷問的描写を読み慣れていない人であれば読み進めるのが辛すぎるかもしれないですし、そんな目を覆いたくなるような物語の果てに爽快な気分になるエンディングが待ち受けているわけではないので、大ヒット作となっている割にはかなり人を選ぶ作品なのですが、それでも多くの人を惹き付け(強引にも)読ませてしまうほどの迫力と魅力があるのは確かなので、少しでも興味があるのならば迷わず読んでみることをお薦めします。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “誉田哲也” 関連記事 】
> No.753 「ケモノの城」
> No.324 「主よ、永遠の休息を」
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