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2014年6月20日 (金)

『暗い越流』 若竹七海 > 「このミス」完全読破 No.752

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.752

 『暗い越流』 若竹七海

   「このミス」2015年版 : 21位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞(短編部門)」
              受賞作 『暗い越流』 収録

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2014.6.6~ 読終:2014.6.10

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年3月>

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若竹七海

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 若竹七海は、1991年に「ぼくのミステリな日常」でデビューして以降、精力的に作品を発表していました。

 しかし、00年代に入ると(90年代に比べて)刊行ペースが下がり、10年代に発売された(本作以外の)単行本はまだ2冊のみと、現在では寡作作家となっています。

 そして本作ですが、2011年のNo.431「ポリス猫DCの事件簿」以来3年ぶりとなる待望の新作なのですね。

 なお、本作の表題作は日本推理作家協会賞の短編部門を受賞しているのですが、これまでは江戸川乱歩賞で最終候補、日本推理作家協会賞では“長編および連作短編集部門”で1度、“短編および連作短編集部門”で3度も最終候補止まりだったので、待望の受賞作(収録作品)でもあるのです。

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 というわけで本作は、「蠅男」「暗い越流」「幸せの家」「狂酔」「道楽者の金庫」の5編と「あとがき」から成るノンシリーズの短編集です。

 ノンシリーズとはいえ、探偵・葉村晶が登場する話がいくつかあるので、“葉村晶シリーズ”作品である『プレゼント』 No.808「依頼人は死んだ」 No.812「悪いうさぎ」をあらかじめ読んでいると(読んでいない場合と比べて)また違った楽しみ方ができるかもしれません。

 やはり注目なのは推協賞を受賞した表題作ですが、死刑囚へのファンレターが弁護士の元に届けられたことから、その弁護士から頼まれた主人公(この死刑囚が起こした事件などを題材としたムック本を担当している雑誌編集者)が差出人の素性を探っていくという話です。

 死刑囚、事件の関係者や被害者、そしてファンレターの差出人が運命的に繋がっていき、この騒動の真相が二転三転しながら明らかになり、驚きを誘う遊び心もあり、最後にはブラックなオチがつくなど、“短編とは思えないほどの贅沢な内容”と“短編ならではの無駄をそぎ落とした読み応え”の両方を味わえるという、さすが受賞作といった出来栄えでした。

 ただ、受賞作だけがずば抜けて高レベルで他の収録作品は寄せ集め的なもの、というよくありそうなパターンでは全くなくて、他作品も(作風は少々違いながらも)ホラー的な雰囲気とミステリ的な仕掛けで素晴らしい仕上がりとなっているところは共通していますし、どの作品でもブラックな捻りを効かせることで刺激的な演出が加えられています。

 なので、各作品がそれぞれの異なる魅力的な読み味を高いレベルで作り上げているため、読む人によってイチ推しの作品が別れるのではないかと思うので、受賞作だけでなく、一冊を通して強くお勧めしたくなるような短編集でした。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★      おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★
 下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★     気軽に読める度 : ★★★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “若竹七海” 関連記事 】

  > No.1125 「不穏な眠り」

  > No.1103 「殺人鬼がもう一人」(後日更新予定)
  > No.1029 「錆びた滑車」
  > No.0920 「静かな炎天」
  > No.0813 「さよならの手口」
  > No.0812 「悪いうさぎ」

  > No.0808 「依頼人は死んだ」
  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0752 「暗い越流」
  > No.0431 「ポリス猫DCの事件簿」
  > No.0205 「プラスマイナスゼロ」


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