『満願』 米澤穂信 > 「このミス」完全読破 No.748
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.748
『満願』 米澤穂信
「このミス」2015年版 : 1位
受賞(候補) : 「山本周五郎賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2016」 4位
「短編ミステリ・オールタイムベスト(国内編)」
80位作品 『柘榴』 収録
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
「ミステリが読みたい!」 1位
「本格ミステリ・ベスト10」 2位
「エアミス研ランキング」 5位
「本屋大賞」 7位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 18位
読始:2014.5.22~ 読終:2014.5.27
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年3月>
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「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」の6編を収録した短編集です。
そして、米澤作品としては初となる(連作集やシリーズ短編集ではない)ノンシリーズ短編集です。
とはいえ、これまで単行本に未収録だった短編を(とある機会に)まとめた、というノンシリーズ短編集によくあるパターンではなくて、あらかじめ編集者と“ノンシリーズの短編集を作ろう”と話し合い、一つの単行本に収録されることを意識したうえで書かれた短編集なのだそうです(「死人宿」だけは他社雑誌掲載作品なので少し意味合いが違うのかもしれませんが)。
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そんなノンシリーズ短編集ということもあってか、警察小説があったりホラー的な作品があったりと収録作のタイプは様々であるものの、一冊を通して似通った雰囲気を持ち合わせてたように思います。
それは、“古典部シリーズ”や“小市民シリーズ”などの学園青春ミステリ作品と同じ作者が書いているとは思えないような大人向けの作風という共通点でして、その渋くて趣深く落ち着きのある筆致により、まるで昭和の名作を思わすほどの円熟味さえ感じさせる読み味が作中から醸し出されているのです。
そんな作風で描かれていくのは、登場人物たちの繊細に揺らめく心の機微や内に秘められた情念が衝動的な人間ドラマを生み出していく物語で、それを巧妙に織り込まれたミステリ的な仕掛けでもって刺激的に演出しているため、作風的には地味ながらその読み応えは(小説としてもミステリ作品としても)一級品なのですね。
なので、派手な内容やミステリ部分のみを期待してしまうと(評判の高さからの反動もあり)物足りなく感じてしまうかもしれませんが、(昨年亡くなった)連城三起彦の遺志を継いだかのようなこの短編集からは(ミステリ作家という枠をも超えた)作家・米澤穂信としての計り知れない技量や才能がひしひしと感じられるので、各作品の魅力はもちろん作家自身の魅力も改めて実感できるに違いありません。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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