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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.746
『ファースト・サークル』 坂本壱平
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「ハヤカワSFコンテスト」最終候補)
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.5.12~ 読終:2014.5.16
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 文庫本 <2013年12月>
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日本のSF小説は、70・80年代には映画やアニメなど映像分野も含めて盛り上がり人気の絶頂にあったものの、90年代には“冬の時代”と呼ばれるほどに衰退し、それ以降はかなりマニアックなジャンルとなっていました。
しかし、2000年代後半に入って伊藤計劃や円城塔がデビューすると、(日本SFとしての高評価はもちろん)ジャンルや国を超えるほどの活躍を見せ、その影響もあってか宮内悠介・藤井太洋・酉島伝法など破格の評価を得る新人が毎年のように出るなど、日本のSF界は今かなり熱い盛り上がりを見せているのです。
ミステリ側から見ても、昨年(2014年版)にはNo.659「ノックス・マシン」法月綸太郎と No.664「ヨハネスブルグの天使たち」宮内悠介、2013年版ではNo.586「機龍警察 暗黒市場」月村了衛と No.566「カラマーゾフの妹」高野史緒と No.611「盤上の夜」宮内悠介と No.579「屍者の帝国」伊藤計劃・円城塔。
さらに2012年版ではNo.459「ジェノサイド」高野和明と No.602「11 eleven」津原泰水、というように「SFが読みたい!」でベスト10にランクインした作品が3年連続で「このミス」にもランクインしている(しかもいずれも複数作品)ことからも、SFの凄まじい勢いが実感できるのでは。
そしてそんな勢いに乗ってか、昨年(2013年)には1992年に終了した公募新人賞・ハヤカワSFコンテストが復活して改めて第1回として実施となったのですが、大賞受賞作である「みずは無間」(六冬和生)だけでなく、「オニキス」(下永聖高)、「テキスト9」(小野寺整)、そして本作の最終候補3作も書籍化されているので、そんなところからもこの賞への期待と力の入れようが窺えますね。
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埋蔵金を発掘するテレビの生放送番組を観ていた“私”は、騒然とし始めた撮影現場に謎の男が映ったのと同時に、複雑なリズムを刻む手拍子が頭の中で響きだし、さらにはいつの間にか頭を失っていることに気づいて.....。
それと同じ頃、精神科医の佐々木満ちるは、製剤の副作用で容態が急変した患者のメンタルケアを担当することになり、その患者である小川少年と会ったところ、少年の手の平には穴があいていて.....。
そこからは、“私”は自分の頭を探すため動きだし、満ちるは少年の手の平の穴と不審な行動を始める同僚とに翻弄され、それぞれが奇妙な世界へといざなわれていくのです。
その奇妙な世界というのは、SF的な世界観ではあるものの、どちらかといえば幻想的な不思議さや夢幻的な不安定さで包まれているので、シュールな展開や独自性のある文体とも絡まることで、掴みどころがなくて何ともいえない味わい深さに酔いしれてしまうほどの作品世界が生み出されています。
ただ、謎の手拍子や頭消失や手の平の穴などインパクトの強い不思議さは序盤で出てしまいますし、それらの謎を解いていく物語でもないので、ストーリー展開や真相から得られるカタルシスなどエンタメ的な面白さを期待するのではなく、幻想的な演出で描かれていく場面場面の雰囲気を堪能するつもりで読み始めるのが最良なのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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