『オービタル・クラウド』 藤井太洋 > 「このミス」完全読破 No.744
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.744
『オービタル・クラウド』 藤井太洋
「このミス」2015年版 : 32位
受賞(候補) : 「日本SF大賞」受賞
「星雲賞」受賞
総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート
「SUGOI JAPAN Award 2016」 ノミネート
年度ランキング : 「ベストSF2014」 1位
「週刊文春ミステリーベスト10」 9位
「ミステリが読みたい!」 14位
読始:2014.5.5~ 読終:2014.5.8
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年2月>
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藤井太洋は、セルフパブリッシング(自己出版)という形で「Gene Mapper -core-」を電子書籍販売すると、人気作家の人気作品を差し置いて(短い集計期間だったとはいえ)“Best of 2012 Kindle 本 年間ランキング(小説文芸部門)”で1位となるなど、デビュー前の作家の個人出版作品としては異例の大ヒット作に。
そんな電子書籍版を大幅に増補改稿して長編に仕上げたNo.653「Gene Mapper -full build-」を翌年(2013年)に紙の本(文庫本)として発売すると、(「このミス」では票が入らなかったものの)「SFが読みたい!」で4位にランクインし日本SF大賞の候補に選ばれるほどの高評価を得て、セルフパブリッシング出身作家の第一人者として注目を集めています。
そしてデビュー2作目となるのが本作ですが、発売直後からSFの枠を超えて評判となっているので、全く無名な状態での自己出版から出発した作家人生において、前作で成功への階段を短期間で昇り上がり、本作にてエレベーターに乗り替えて一気に上昇している真っ最中、といった現在の状況なのではないでしょうか。
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流れ星の発生を予測するWebサービス“メテオ・ニュース”を運営している木村和海は、間もなく流れ星になるはずだった衛星軌道上の宇宙ゴミ(デブリ)が不審な動きをしていることを発見。
ちょうどアメリカの起業家ロニー・スマーク父娘が民間宇宙ツアーのプロモーションのため軌道ホテルに滞在する計画が実行されようとしている時で、さらにネットでは国際宇宙ステーションを襲うための軌道兵器だという噂が広まり始めて.....。
前作のテーマは“遺伝子設計された蒸留作物”だったのに対し、本作では“宇宙開発(宇宙科学)”とそのスケールがかなり大きくなっていまして、物語自体のスケールも前作とは比較にならないくらいの大きさに。
物語の展開としては、何者かが巧妙に仕掛けた宇宙テロを様々な分野のスペシャリストが協力して阻止しようと奮闘していく、というものなのですが、宇宙科学技術やITの専門知識、近未来的最新鋭アイテムなどが絡んでいくことでSF的な世界が形作られています。
そこに、テクノスリラーや国際謀略サスペンス、クライムノベルやアクションなど、様々なエンタメ的な要素で演出されていくことでその盛り上がりは(ストーリーが進むごとに)迫力を増していきますし、さらに(職業小説を思わすような)チームの絆や職務に対する使命感、普通の一般人が宇宙規模の活躍を見せるヒーロー物語などが描かれることで、熱く胸を打つドラマが繰り広げられていくのですね。
宇宙技術やITなどの専門用語・知識が作品の基盤となっているため、こういったタイプのSF作品を読み慣れていないと読み進めづらいかもしれないものの、なんとなく理解できている程度でも物語に入っていけるくらいにわかりやすく説明されていますし、SF小説としての魅力はもちろんエンタメ小説としての魅力も一級品だと思うので、SF好き以外の人にも強くお薦めしたい作品です。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “藤井太洋”関連記事 】
> No.824 「ビッグデータ・コネクト」
> No.744 「オービタル・クラウド」
> No.653 「Gene Mapper -full build-」
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