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2014年5月15日 (木)

『小さな異邦人』 連城三紀彦 > 「このミス」完全読破 No.743

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.743

 『小さな異邦人』 連城三紀彦

   「このミス」2015年版 : 4位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「エアミス研ランキング」 2位
              「本格ミステリ・ベスト10」 3位
              「ミステリが読みたい!」 3位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 4位

   読始:2014.4.28~ 読終:2014.5.6

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2014年3月>

小さな異邦人 (文春文庫)小さな異邦人 (文春文庫)
連城 三紀彦

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 連城三紀彦は、70年代後半に探偵小説雑誌『幻影城』からデビューすると、大胆な仕掛けを用いた本格ミステリ作品を発表し続け、綾辻行人を始めとした新本格系作家から米澤穂信など最近の作家まで、幅広い世代の本格ミステリ作家に多大な影響を与えて来ました。

 その一方で、男女の心の機敏を絶妙に描いた恋愛小説も手掛けていて、『恋文』で直木賞を受賞するなどこちらのジャンルにおいても高い評価を受けることに。

 近年は、母親の介護を長い間一人で行っていたり、自身の病気もあって、2004年以降に単行本化された作品はNo.136「造花の蜜」のみと寡作となっていましたが、昨年(2013年)の10月に亡くなるまで読者の心に強く響いてくるような数多くの傑作を生み出してきたので、日本を代表するミステリ作家の一人であることは間違いないでしょう。

 なお、まだ発表されていない長編小説が何作かあるそうなので、本作が“最後の新刊”とはならないようですね。

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 というわけで本作ですが、2000年から2009年の間に『オール讀物』で発表された短編8作「指飾り」「無人駅」「蘭が枯れるまで」「冬薔薇」「風の誤算」「白雨」「さい涯てまで」「小さな異邦人」を収録。

 内容の方は、男女の心の機敏を描いた恋愛小説要素の入った話がほとんどなのですが、特に女性の心理描写が(男性作家が書いているとは思えないほどに)鋭く鮮やかに描かれていて、狂気混じりの感情が物語に溶け込みつつ心地良い刺激を与えています。

 そこに、ミステリ的な技巧や仕掛け、サスペンス的な演出が加わることで、物語に命が吹き込まれ、さらに色濃く(時に)幻想的に覆われていくので、単に恋愛小説というだけではない濃厚な読み応えを味わうことが出来ると思います。

 そして最後に収録されている表題作はお得意の誘拐ミステリーでして、“子供が8人もいる大家族に誘拐犯から電話が掛かってくるも、子供は全員家にいて.....”という導入部分から展開されていく奇妙な誘拐劇やそのトリッキーながら説得力ある真相など、短編とは思えないほどの“さすが誘拐ミステリの名手”と唸らされてしまう面白さを堪能できるのでは。

 そういった作品集なので、これまで連城作品を読んで来た人にはもちろん自分が薦めるまでもないですが、まだ読んだことがないという人にも、本格ミステリや恋愛小説など連城作品の様々な魅力を一冊で味わうことが出来る本作をまず読んでみて、それから過去の名作を辿っていくことをお薦めしたいですね。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★★    おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★★     感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★     気軽に読める度 : ★★★★

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
  <個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “連城三紀彦”関連記事 】

  > No.795 「女王」
  > No.789 「処刑までの十章」

  > No.743 「小さな異邦人」
  > No.449 「どこまでも殺されて」
  > No.167 「人間動物園」
  > No.136 「造花の蜜」
  > No.036 「黄昏のベルリン」


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