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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.742
『〔少女庭国〕』 矢部嵩
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ベストSF2014」 13位
読始:2014.4.30~ 読終:2014.5.3
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年3月>
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卒業式が行われる講堂へと続く狭い通路を歩いていた、中学3年生の仁科羊歯子。
しかし、気が付くと暗い部屋に寝かされていて、石で出来ているその四角い部屋にはノブが付いているドアと付いていないドアが一つずつ、そして貼り紙があるのみ。
その貼り紙の内容というのが、校長から生徒に向けた卒業試験で、“m(ドアの開けられた部屋の数)-n(死んだ卒業生の数)=1”とせよ、というもの。
この状況が理解できない羊歯子は、とりあえずノブが付いているドアを開けてみたところ、そこは(羊歯子が目覚めたのと)同じような部屋で、中央には羊歯子と同じ制服を着た女子が寝ていて.....。
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これまでの3作品は全て角川ホラー文庫から発売されてきた矢部嵩ですが、本作で初めて角川ホラー文庫以外、しかもジャンルの異なるSFレーベルである“ハヤカワSFシリーズJコレクション”からの発売となりました。
内容的には、生徒たちが生き残りを賭けて殺し合いを行うという(『バトル・ロワイヤル』〈高見広春〉以降流行した)バイオレンスサバイバルホラーや、何者かにより閉じ込められた密室から極限状態で脱出を試みる(映画『CUBE』『SAW』が代表格の)密室サバイバルホラーが展開していくかのように始まります。
しかし読んでいくと、そういったサバイバルホラーの定番とはちょっと違った方向に話が進んでいき、ついには読む前には予想だにしていなかったようなとんでもない物語世界に突入していくのです。
それがどんな物語世界なのかを知らずに本作を読んだ方が(知ってから読むより)何倍も楽しむことが出来るのは確かなので、その内容をここで説明することは出来ないのですが、まあとにかく口をあんぐりと開けて唖然としてしまうほどの意外性、そしてそのぶっ飛んだ物語に為す術もなく圧倒されてしまうほどの衝撃性があるのですね。
とはいえ、ある意味で一発芸的な試みでもあり、それが明かされてからも話は続いていくため、こういった作風が苦手な人だと後半部分は退屈に感じてしまうかもしれません。
それでも、この自分が想像できる常識の枠を容赦なく突き破ってくるようなまさかの展開やそこから生まれてくる右脳をビリビリと震わすような刺激は、この作品でしか味わうことの出来ないであろう種類の面白さなので、多くの人にお薦めすることは出来ないものの、トンデモ作品好きな人には大いにお薦めしたくなる作品でした。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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