『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』 十市社 > 「このミス」完全読破 No.741
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.741
『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』 十市社
「このミス」2015年版 : 15位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 19位
「本格ミステリ・ベスト10」 22位
読始:2014.4.25~ 読終:2014.4.26
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年1月>
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ここ数年で電子書籍がずいぶんと浸透した感がありますが、(これまでにおける)一番の功績といえば、実績のないデビュー前の作家がセルフパブリッシング(自己出版)という形で作品を発表しやすくなり、そこからヒット作が生み出されていることではないでしょうか。
その代表的な存在なのが藤井太洋でして、「Gene Mapper -core-」を個人出版の電子書籍として販売すると、(無名の作家ながら)売り上げランキングで上位に入るほどのヒット作に。
そんな電子書籍版を大幅に増補改稿して長編に仕上げたNo.653「Gene Mapper -full build-」を単行本として発売すると、(「このミス」では票が入らなかったものの)「SFが読みたい!」で4位にランクインし、日本SF大賞の候補にも選ばれ、さらにはデビュー2作目No.744「オービタル・クラウド」が発売直後からSFの枠を超えるほどの高評価を受けるなど、セルフパブリッシング作家の成功例としての道を着実に歩んでいます。
そして本作の作者である十市社も、Kindleダイレクト・パブリッシングで本作ののオリジナル版を発表すると、それを読んだ東京創元社の編集者からオファーを受け、加筆修正した本作にて単行本デビューを果たし、早くもミステリマニアの間で好評を得ているなど、この分野(セルフパブリッシング)を象徴する作家の一人として注目を集めているのですね。
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一居士架は、クラスメイト全員から全く話しかけられず、自分から話しかけることもないため、クラス内で幽霊扱いされている高校一年生の男子。
しかし、席替えにより架の前の席になった女子・玖波高町から突然話しかけられ、しかも架にとって衝撃的な“ある事実”を教えられて.....。
というわけで本作は学園青春ミステリでして、主人公が“ある事実”を知ってからは少し変化球的な要素の入った学園青春物語が繰り広げられていきます。
話が進んでいくにつれて、“主人公の謎”から“ヒロインの謎”へと焦点が移り始めるのですが、その過程において新たな真相が徐々に明らかになっていき、その(高校生が抱えるには辛すぎるような)真相が二人の物語に大きな影響を与えていくことで、青春物語の枠を超えるほどのドラマ性が深みと濃厚さ増していくのです。
そして迎える終盤では驚愕の一撃がありまして、トリック的にはそこまで斬新であったり独創的であるわけではないものの、そこまで展開されてきた主人公&ヒロインのドラマが渦巻くような迫力でこの終盤にまで流れ込んでいることもあり、その驚きの効果は物語の中で絶妙な刺激となっているのですね。
やはり実績のない新人作家のデビュー作ということもあり、作品全体の完成度としてはそこまで高くない(粗を探そうと思えば見つけやすい)かもしれませんが、衝撃を生み出すミステリ的な仕掛けや、(成長物語や友情物語など)様々な要素を印象的に演出した青春ドラマなど、(新人離れしたというよりは)新人だからこその勢いと情熱とが魅力的に詰め込まれているので、青春ミステリとしての面白さは(新人という括りなど意味を成さないほどに)高いレベルであったように思います。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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