『波形の声』 長岡弘樹 > 「このミス」完全読破 No.733
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.733
『波形の声』 長岡弘樹
「このミス」2015年版 : 81位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.3.23~ 読終:2014.3.25
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年2月>
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補助教員として1ヶ月半限定で小学校のクラスを受け持っている谷村梢は、普段はほとんど喋らない生徒・中尾文吾から、学校のとある先生がスーパーで万引きしている姿を見てしまったと告白される。
文吾がクラスメイトからイジメを受けているらしいこともわかったので、万引き目撃の詳細を聞く目的もあり、放課後に文吾の家を訪問するも、留守だったため会わずに帰ることに。
するとその日の夜、文吾が自宅で侵入者に首を絞められ病院に運ばれたと連絡が入り、さらには文吾が襲われる直前に「谷村先生」と口にしていたことが判明したため、梢が犯人ではないかと疑われてしまい.....。(「波形の声)
外を出歩く時は普段手離せない補聴器を外し、運転に不安を感じながらも車通勤を止めないなど、見栄を張った生活を送っている、現在82歳の須貝欣一。
その理由は、10年前に欣一の家の斜向かいに引っ越してきた、甲子園出場をかけて最終回まで投げ合った相手高校のピッチャー・瀬川兵輔へのライバル心によるもので.....。(「宿敵」)
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というわけで本作は、「波形の声」「宿敵」「わけありの街」「暗闇の蚊(モスキート)」「黒白の暦」「準備室」「ハガニアの霧」の7編から成る短編集です。
シリーズ短編や連作集ではなく、物語や人物に繋がりなどないノンシリーズの短編集なので、単行本の裏帯に書かれている各話のちょっとしたあらすじ等を見て、気になった話から読んでみるのもいいのではないでしょうか。
長岡弘樹がこれまで発表してきた4作品のうち長編作品は1作のみで、「このミス」で(2014年版までに)ランクインした作品も短編集(No.287「傍聞き」)と連作集(No.667「教場」)であることからもわかるように、まさに短編ミステリの職人とでも言うべき作家なのですが、本作でも短編ミステリとしての読み味が抜群の作品が勢ぞろいとなっています。
短いページ数の中で、まずグイッと惹き付けられるエピソードが披露され、そこからストーリーが進められていく中に魅力的な謎が散りばめられ、いくつもの伏線が見事に回収される終盤で驚くべき真相が明かされ、熱く胸を打つドラマ性が浮かび上がってくるという、短編ミステリのお手本とも言うべき面白さを堪能できるのですね。
ただ、「このミス」にランクインした2作と比べてしまうと、ドラマ性にしてもミステリトリックにしても強く印象に残るようなインパクトはそこまでなかったように感じたので、昨年(2013年)に発表した「教場」が「週刊文春ミステリーベスト10」1位&「このミス」2位にランクインした大傑作だったことから本作にも期待を必要以上に高めすぎることなく、この職人技が光るミステリ短編集を味わうべきだと思います。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★ 気軽に読める度 : ★★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “長岡弘樹” 関連記事 】
> No.1052 「救済 SAVE」
> No.0886 「教場2」
> No.0733 「波形の声」
> No.0667 「教場」
> No.0287 「傍聞き」
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「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
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