『読み解かれるD クロニクル・アラウンド・ザ・クロックIII』 津原泰水 > 「このミス」完全読破 No.736
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.736
『読み解かれるD クロニクル・アラウンド・ザ・クロックⅢ(3)』 津原泰水
* 後にシリーズ3作を1冊にまとめて
『クロニクル・アラウンド・ザ・クロック』として単行本化
「このミス」2015年版 : 145位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.4.2~ 読終:2014.4.7
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 文庫本 <2014年2月>
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No.640「爛漫たる爛漫」、No.642「廻旋する夏空」に続く、“クロニクル・アラウンド・ザ・クロック シリーズ(三部作)”の3作目(完結編)です。
このシリーズは文庫オリジナルで、1・2作目の発売間隔は2ヶ月ほどと短く、この3作目も間をあけずに発売される予定だったようですが、結局は(2作目から)1年も間があくことに。
シリーズ作品としては、巻ごとに中心となる事件や騒動が異なるタイプではなく、ストーリーが完全に繋がっているため、3作目から読んでも全く理解できないので、1作目から順に読むべきです。
そして前2作をすでに読んでいる人でも、その内容を忘れていると(本作を読んでいても)物語に入り込むまでに時間がかかり、ようやく思い出してきた頃にはすでに終盤、といった事態が予想されるため、改めて3作を通して一気に読むことをお薦めします。
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というわけで本作、というか本シリーズは、人気ロックバンド"爛漫"のボーカルであるニッチこと新渡戸利夫が変死した事件の謎を、不登校少女・向田くれないが、ニッチの兄で陰から"爛漫"を支えてきた鋭夫と共に探っていく青春音楽(ロック)ミステリ作品です。
そして三部作としての特徴としては、1作目で事件が解決したと思いきや、2作目で新たな真相が明かされ、さらに3作目で本当の真相が明かされて.....、といった感じで、巻ごとに事件の真相が覆されていくという凝った作りとなっているのです。
とはいえ、どんでん返しのような衝撃的&驚愕的なひっくり返し方というわけではないですし、全編を通して事件に関する謎について語られるとはいえミステリ度はそれほど高くないので、ミステリ的な読み応えを期待してしまうと(特に1作目のあとがきに書かれていた“前作をひっくり返していく大掛かりな物語”という部分から驚きのどんでん返しを期待してしまうと)、あまり手応えが感じられないかもしれません。
それでも、主人公が(仲間・家族を巻き込みつつ)成長していく物語や、ロックバンドが紆余曲折を経ながら成長していく物語により、青春ドラマも音楽ドラマも胸を打つほどに熱くて愛おしい魅力が溢れていますし、ミステリ要素がそれらを絶妙に演出しているのですね。
それに、主人公を中心に広がっていく物語には常に音楽が鳴り響き、まさに“人生は音楽だ”と納得させられてしまうほどの音楽愛パワーが作品全体で脈打っているので、読み方さえ間違えなければ(ミステリに重心を掛けすぎなければ)、青春音楽ミステリの魅力を大いに堪能出来るのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
【 “津原泰水”関連記事 】
> No.736 「読み解かれるD クロニクル・アラウンド・ザ・クロックIII」
> No.642 「廻旋する夏空 クロニクル・アラウンド・ザ・クロックII」
> No.640 「爛漫たる爛漫 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック」
> No.602 「11 eleven」
> No.574 「猫ノ眼時計」
> No.568 「ピカルディの薔薇」
> No.565 「蘆屋家の崩壊」
> No.376 「瑠璃玉の耳輪」
> No.180 「たまさか人形堂物語」
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「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
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