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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.729
『体育館の殺人』 青崎有吾
「このミス」2013年版 : 57位
受賞(候補) : 「鮎川哲也賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 5位
読始:2014.3.7~ 読終:2014.3.11
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年10月>
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鮎川哲也賞を受賞した、青崎有吾のデビュー作です。
作者が平成生まれの現役大学生だったことや、古き良き本格ミステリ作品を思わすようなその内容から、(新人のデビュー作としては)発売直後からミステリマニアの間で大きな話題に。
しかし、その評価は賛否両論真っ二つに分かれていて、ネット上の感想などでは酷評も多く見られました。
ところが、本作は「本格ミステリ・ベスト10」で新人としては大健闘の5位にランクインし、翌年発売のデビュー2作目にしてシリーズ2作目のNo.761「水族館の殺人」はさらに上昇して2位にランクイン。
さらには(2作目が)本格ミステリ大賞の候補にも選ばれるなど(この記事を書いている時点で大賞発表前)、本格ミステリランキングや本格ミステリ系文学賞においては高い評価を受けているのです。
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神奈川県立風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後に放送部部長・朝島友樹の刺殺体が発見される。
女子卓球部部長の佐川奈緒が最有力容疑者とされてしまったため、部長を慕う卓球部の袴田柚乃は、部室に住み込んでいて中間テストは全教科満点と噂の裏染天馬に、部長の無実を証明してもらおうとして.....。
というわけで本作は殺人事件が起こる学園ミステリなのですが、綾辻行人の“館シリーズ”をパロディー化したようなタイトルからもわかるように、古典ミステリや新本格など古き良き本格ミステリの王道を行くような内容となっています。
具体的には、細かな物証を基に論理的な推理を展開していくという、(単行本初版の帯にも名前が出ている)エラリー・クイーンを思わすような推理劇が演じられるのですが、最近ではここまで本格ミステリのど真ん中を狙う作品はあまりないため、逆に新鮮な印象となっているのですね。
ただ、素人目にも荒さを感じてしまう論理的推理の進め方や、探偵役がアニメ・漫画・声優などの(知らない人からしたら全く意味不明であろう)小ネタをしょっちゅう挟んでくるという現代的なキャラクターであることなどから、読む人によっては酷評となるのも理解出来てしまいます。
とはいえ、何でもないような一つの物証を基に真相へと迫っていくロジック的推理は素晴らしいですし、作風はとても軽快で読みやすく、それにやはり最近の作品ではなかなか味わうことの出来ない本格ミステリの魅力を堪能できるのは間違いないので、あまり細かいことは気にせずに本作の面白さを楽しむべきでしょう。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
<個人的評価&項目別評価>の詳しい説明・評価基準は
「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください
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> No.1111 「ノッキンオン・ロックドドア」
> No.1080 「早朝始発の殺風景」(後日更新予定)
> No.0934 「図書館の殺人」
> No.0761 「水族館の殺人」
> No.0729 「体育館の殺人」
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