『世界で一つだけの殺し方』 深水黎一郎 > 「このミス」完全読破 No.725
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.725
『世界で一つだけの殺し方』 深水黎一郎
「このミス」2015年版 : 145位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 24位
読始:2014.2.22~ 読終:2014.2.24
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年12月>
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No.104「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」、「トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ」、No.251「花窗玻璃 シャガールの黙示」、「ジークフリートの剣」に続く、“芸術探偵シリーズ”の5作目です。
このシリーズは、ストーリーが繋がっているようなタイプではないので、どの作品から読んでも問題ないと思います。
それに、芸術に関する薀蓄話に多くの分量が割かれていて、しかも本格ミステリのトリックも一見地味ながら綿密に仕掛けられている玄人受けタイプという、難解な読み応えのシリーズなので、まずはシリーズ初の中編集である本作から読んでみるのもいいのではないでしょうかね。
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というわけで本作は、「不可能アイランドの殺人」「インペリアルと象」の2編を収録した中編集です。
まず「不可能アイランドの殺人」は、小学生の女の子・モモちゃんが家族旅行で訪れた街で、池の上を人が走ったり、トンネルから出てきた電車の車両が半分になっているなど、不思議な現象の数々に遭遇し、さらには殺人事件にも巻き込まれることに.....。
この作品に芸術探偵は出て来ませんし(なのになぜ“芸術探偵シリーズ”なのかは読めばわかります)、主人公であるモモちゃんの好奇心旺盛なキャラクターによってほのぼのとした雰囲気もあり、他のシリーズ作品とは作風が大きく違っているので、番外編といった感じがあります。
しかし、不思議な現象の数々をきっちりと解明していきますし、殺人事件に対しても探偵的な展開となり、作品全体に施された仕掛けも絶妙であるなど、本格ミステリとしての面白さは変わりなし、といったところですね。
もう一作の「インペリアルと象」は、芸術探偵が殺人事件を推理し真相を導き出すというシリーズ直球の内容でして、今回取り上げられる芸術はクラシック音楽(ピアノ)。
動物園で開催されていたクラシックコンサート中にゾウが厩務員を踏み殺す事故が起き、その謎を芸術探偵こと神泉寺瞬一郎が解き明かすわけですが、やはりクラシック音楽に関する薀蓄話が畳み掛けられますし、推理の一部に楽譜が使われたりもするので、クラシック音楽に全く興味がない人なんかは読み進めづらいかもしれません。
とはいえ、薀蓄を絡めながらじっくりと真相へと近づいていく展開はシリーズならではの魅力にあふれていますし、“よくこんなこと考えるな~”と思ってしまうほどの本格ミステリ的な発想&技巧も相変わらずの素晴らしさです。
それに、作風のタイプが大きく異なりながら、どちらの物語においても深水流本格ミステリ妙味を心おきなく楽しむことが出来るので、中編集ではあるものの、いや中編集だからこその贅沢な逸品といえるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.251 「花窗玻璃 シャガールの黙示」
> No.104 「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」
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