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2014年2月25日 (火)

『怒り』 吉田修一 > 「このミス」完全読破 No.724

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.724

 『怒り』 吉田修一

   「このミス」2015年版 : 11位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本屋大賞」 6位
               「週刊文春ミステリーベスト10」 8位
               「dacapo BOOK OF THE YEAR」 11位
               「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
                 (小説ランキング) 32位

   読始:2014.2.13~ 読終:2014.2.21

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本(上・下) <2014年1月>

怒り(上) (中公文庫)怒り(上) (中公文庫)
吉田 修一

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 家出から帰って来た娘、そして最近一緒に働くようになり面倒を見ている他所者の男のことで色々と思い悩んでいる、千葉の漁協で働く洋平。

 サウナで強引に体の関係を持った謎の男と、その後も何故だか一緒に暮らしている、ゲイの優馬。

 母の都合で沖縄に移り住んでしばらく経った後、近くの無人島に住みついている男と知り合った、女子高生の泉。

 八王子で起きた夫婦殺人事件の犯人が逃走して手掛りのないまま1年が経つ中で、前歴不詳の男と出会った3人それぞれの物語が、並行して語られていきます。

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 この3つの話はいずれも、八王子の事件とはほとんど関係なく進んでいき、前歴不詳の男と出会うことで前向きな変化が生まれた日常が描かれていくので、「怒り」というタイトルのイメージとは違ってほのぼのした雰囲気さえ感じさせるほどの物語となっています。

 しかし、八王子の事件を捜査する刑事のパートもあり、この捜査が進んでいくことで、前歴不詳の男たちの中で一体誰が事件の犯人なのか、といった部分が読んでいくにつれて益々気になっていきますし、それは主人公たちも同様で、男を疑うべきか信じるべきかで心が激しく揺れ始め、さらには人生を大きく左右するような出来事も起きるので、それぞれの人間ドラマが次第にうねりを上げて動き出していくのですね。

 そういった物語が、No.624「悪人」の時のような一定の距離を保った冷静な作者の目を通して描かれていくため、圧倒的なドラマ性や派手なエンタメ性はないものの、それ故に物語やテーマ性が静かながらじっくりと心に染み入って来ますし、押しつけがましくない感動が胸に押し寄せてくるのです。

 そういった内容なので、「怒り」というタイトルから想像出来るような犯罪サスペンスや、殺人事件の捜査や犯人の逃走劇などの事件サスペンス(ミステリ)として期待してしまうと、あまり手応えを感じることが出来ないかもしれません。

 ただ、殺人事件そのものを描くのではなく、殺人事件と間接的に関わることになった人々を描いていくことで、現代社会が抱える心の歪みに対する問題提起が鮮烈に浮かび上がり、それが感涙の人間ドラマと見事に溶け合っているので、サスペンス・ミステリ的な要素よりもドラマ性を楽しむつもりで読むべき作品だと思うし、読み方さえ間違えなければ(特に終盤において)心を強く揺さぶられる可能性は高いのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


 本格ミステリ度  : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★★
 衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “吉田修一” 関連記事 】

  > No.724 「怒り」
  > No.676 「愛に乱暴」
  > No.624 「悪人」
  > No.539 「太陽は動かない」
  > No.195 「元職員」


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