『機龍警察 未亡旅団』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.722
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.722
『機龍警察 未亡旅団』 月村了衛
「このミス」2015年版 : 5位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート
* シリーズとしてノミネート
年度ランキング : 「ベストSF2014」 6位
「週刊文春ミステリーベスト10」 9位
「ミステリが読みたい!」 12位
読始:2014.2.4~ 読終:2014.2.8
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2014年1月>
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No.390「機龍警察」、No.492「機龍警察 自爆条項」、No.586 「機龍警察 暗黒市場」に続く、“機龍警察シリーズ”の4作目です。
1作目こそ“アニメ脚本家の作家デビュー作”というくらいの話題性しかありませんでしたが、2作目では「このミス」でベスト10入りし(9位)日本SF大賞を受賞、3作目は「このミス」でベスト3入りし(3位)吉川英治文学新人賞を受賞するなど、今ではすっかり人気実績共に抜群のシリーズとなっています。
そしてこのシリーズは、中心となる事件や騒動は作品ごとに異なるため、どの作品から読んでも楽しむことが出来るように仕上がっています。
ただ、シリーズを通して展開していく大きなストーリーがありますし、人間関係や組織関係、登場人物たちの組織内における立ち位置などが結構複雑で、前3作を読んでいた自分でも登場人物の名前とキャラクター(物語内での立ち位置)が繋がるまで時間がかかったほどなので、やはり1作目から順に読むことをお薦めしますね。
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不法入国者集団による大がかりな取引の現場を神奈川県警が急襲したところ、犯行グループの数名が警官隊めがけて突進して自爆し、その大爆発により周囲の家屋が倒壊し死傷者が多数出るほどの甚大な被害を生み出す事件が発生。
犯行グループはチェチェン共和国のテロ組織“黒い未亡人”であり、生き残ったメンバーが機甲兵装を使った新たなテロ攻撃を計画していることが判明したため、警視庁の特捜部と公安部が合同で捜査に当たることに.....。
このシリーズの作品設定は、今さらな説明となってしまうかもしれませんが、主な舞台となるのは近未来の東京で、警視庁の特捜部という、近接戦闘兵器“機甲兵装”の最新型である“機龍兵(全長3mくらいの、人が乗り込む二足歩行マシン)”を導入した部署が中心となっています。
そんな特捜部による事件捜査を中心とした近未来警察小説でして、近未来SF的な世界観だけでなく、リアルな警察小説としても圧倒的な読み応えがあますし、海外の犯罪組織を描いた社会派な面もあり、機甲兵装を使った激しいアクションシーンが繰り広げられ、さらにある関係者が謎の行動を取るミステリ的な展開もあるなど、エンタメ小説の様々な魅力が濃厚に凝縮されているのです。
まあシリーズも4作目ということで、マンネリ打破のため新機軸を打ち出すことでそれまでの魅力が失われたり、それとは逆に新たな要素を加えないことでマンネリ感が蔓延してしまう不安が、読む前にはわずかとはいえ心の中にありました。
しかし、前作までの魅力は失われるどころか(作品を重ねていくことで)さらなる熟成を見せてより味わい深くなっており、前作までは機龍兵に乗る傭兵である3人それぞれの過去が並行して語られていたのに対し、本作では(比較的一般人に近い)特捜部警察官2人の過去から現在に至る物語が語られるので、前作までとはまた異なる面白さがあり、マンネリなどいらぬ心配でしたね。
そして、“黒い未亡人”は過酷な過去を持つ女性のみのテロ組織で、未成年メンバーの自爆テロをも辞さない覚悟の元に動いていて、そんな信条に至るまでの壮絶なるエピソードには圧倒されますし、そんなテロ組織を迎え撃つ日本の警察の覚悟も並々ならぬものがあるので、両者がぶつかり合うことで作中から放たれて来る迫力は前3作にも劣らぬように感じられました。
それに、このロシアを主な攻撃対象とする“黒い未亡人”というのは現実に存在するテロ組織で、しかも本作発売(2014年1月末)の数週後に開幕したソチオリンピックではテロ攻撃に対しかなり厳重に警戒されていて、現に前年にはソチ近郊で自爆テロが複数起きていたりもするので、そういった時期的なこともあってより緊迫感や迫力が増していましたね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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