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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.721
『アンドロギュヌスの皮膚』 図子慧
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2014.1.31~ 読終:2014.2.3
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年12月>
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不動産会社社長の殺害事件の容疑者として任意同行を求められた際に、警察官を殴るなどして逃走し公務執行妨害で逮捕された、通称・三井。
警察の取り調べに対し完全黙秘を続け、氏名不詳のまま拘置所に移送された三井は、格闘技の心得があるのか力で威嚇した警察官を手錠をかけられたまま倒し、そうかと思えば普段は大人しく素直に言うことを聞くという、不思議な雰囲気を持つ青年。
そして、捜査資料がネット上に流出したり、三井と関係があるらしい暴力団の組員3人が死体で見つかったり、三井を目撃した証人たちが次々と証言を撤回するなど、三井をめぐる事件は不可解な様相を見せ始めて、ついには起訴が取り下げられ三井は拘置所を出ることに.....。
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まずこの三井という人物がなかなか魅力的なキャラクターでして、冷酷な心と驚異的な格闘技術・身体能力を備える殺し屋でありながら、子供のような純粋さと目を見張るほどの端麗な容姿を持っていて、しかも自分が何者なのかが分からないなど謎めいているので、神秘的なオーラを感じてしまうほどです。
ただ物語はこの三井だけでなく、多くの人物による目線で描かれていきまして、10年前に東京を襲った大水害や、三井がかつて暮らしていた“ホーム”と呼ばれる地下医療施設での騒動、大学病院の理事が襲われ重傷を負う事件、そして三井が起こした事件や逃亡劇などが絡んでいき、謎めいていた様々な状況が次第に明らかになっていきます。
三井が“ホーム”で共に暮らしていた人物たちを探すところなどはハードボイルド的ですし、その他にも病院を舞台としたサスペンス要素や、闇社会が関わる犯罪小説的展開、格闘アクションに警察小説など、様々なジャンルの魅力が絶妙に絡み合っているのです。
そんな多ジャンルの中でもSFに力が入っていまして、ハイテク機器や最先端医療など近未来的要素が現代社会と変わらぬ世界に溶け込んでいて、SF色が強い物語の雰囲気がとても印象深く描かれていました。
そのため、読みやすいというタイプではないですし、SF以外のエンタメ的要素はガッツリとした読み応えやわかりやすい盛り上がりがあるわけでもないため、好みが分かれやすい作風だと思うので、近未来SF的な世界観を楽しむことが出来る人にお薦めの作品ですね。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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