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2014年2月19日 (水)

『検察側の罪人』 雫井脩介 > 「このミス」完全読破 No.710

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.710

 『検察側の罪人』 雫井脩介

   「このミス」2014年版 : 8位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 4位

   読始:2013.12.17~ 読終:2013.12.24

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2013年9月>

検察側の罪人 上 (文春文庫)検察側の罪人 上 (文春文庫)
雫井 脩介

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 かつて教官として若手検事を指導していたこともある最上毅は、現在も新人検事に慕われている正義感に溢れたベテラン検事。

 そんな最上が大田区で起きた老夫婦殺人事件の捜査に立ち会ったところ、事件関係者の中に見覚えのある名前を発見。

 それは、最上が学生時代に住んでいた寮の管理人の娘が殺害され、犯人である可能性がかなり高い容疑者が見つかったものの証拠不十分で逮捕に至らず、迷宮入りのまま時効を迎えたという、最上の心に今も重く圧し掛かる23年前の事件の容疑者であった、松倉重生の名前。

 松倉は大田区の事件でも有力な容疑者として浮かび上がるも、事件への関与を頑なに否定するため、最上は時効となった23年前の事件の分も罪を負わせようと、強引とも思える取り調べを部下に命じ松倉を追い込み始めて.....。

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 ミステリ小説の中での検事(検察官)といえば、裁判を舞台に弁護士と争う存在といった印象が強いですが、本作に登場する検事は、事件の捜査に参加して、容疑者の取り調べも(警察と並行して)行い、裁判に掛けるための証拠が出揃ったかどうかを判断するという、比較的(法廷よりも)警察側に近い役職にあります。

 そのため、検事が主人公とはいえリーガル(法廷)サスペンスというわけではなくて、警察小説に近い読み味がありますし、それでいて警察官(刑事)とはまた違った視点から事件を見渡しているため、警察小説としての魅力と検事小説としての魅力をどちらも存分に楽しむことの出来るという、絶妙な題材(役職)を見事に選び出した作品でした。

 そして本作の主人公は、事件の関与を頑なに否定する容疑者に対し過去の因縁から執拗に追い込んでいくわけですが、元々は良識あり検事の鏡とも言うくらいに正義感溢れる主人公が、悩みつつも(冤罪かもしれない)容疑者に罪を負わせようと職務を逸脱するかのような行動を始めてしまうので、自身が信じる“正義”に対しての壮絶なる葛藤が物凄い熱量で伝わってきます。

 そこにさらに、主人公の教官時代の教え子であり、現在は部下の立場から主人公を強く慕っている若手検事・沖野啓一郎が、主人公の指示の元で容疑者を苛烈に暴力的に追い込んでいくも、次第に容疑者が犯人であることに疑問を感じ始めるため、こちらでも“正義”に対する凄まじき葛藤が湧き上がってくるのです。

 そんな二人の(検事としての)正義の信念や自身の現状に対する葛藤が剥き出しの状態でぶつかり合うことで、とんでもなく迫力のある人間ドラマが溢れ出して(読み手に向かって)怒涛の如く押し寄せて来ますし、時効・冤罪・正義など考えさせられる社会的な要素も多いので、エンタメサスペンスとしても社会派サスペンスとしても読み応えがありすぎるほどの熱くて濃厚な検事小説だったように思います。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★★
 衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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