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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.708
『聴き屋の芸術学部祭』 市井豊
「このミス」2013年版 : 24位
受賞(候補) : 「ミステリーズ! 新人賞(佳作)」
受賞作 『聴き屋の芸術学部祭』 収録
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 16位
読始:2013.12.14~ 読終:2013.12.17
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年1月>
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市井豊は、2008年に「聴き屋の芸術学部祭」(短編)でミステリーズ!新人賞の佳作を受賞。
その後は、(書籍として発売されたのは)新作短編が学園ミステリアンソロジー『放課後探偵団』に収録され、雑誌掲載短編が『ベスト本格ミステリ2011』に収録されたのみで、単独名義での書籍化は長らく行われなかったのですが、受賞から3年以上経った2012年1月にようやく、受賞作を表題とした本作でデビュー。
すると、「このミス」ではランクインこそ逃したもののあと一歩の24位となるほどの票を集め、「本ミス」では見事16位にランクインと、デビュー作としては上々の評価を受けたのですね。
ちなみに、同じ年にミステリーズ!新人賞の正賞を受賞したのは、後に受賞作を含む連作集No.326「叫びと祈り」で鮮烈なるデビューを飾った梓崎優で、『放課後探偵団』参加作家としても共に名を並べています。
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というわけで本作ですが、「聴き屋の芸術学部祭」「からくりツィスカの余命」「濡れ衣トワイライト」「泥棒たちの挽歌」の4編からなる連作集です。
なお、シリーズの続編がすでに何本か雑誌に掲載されているので、“聴き屋シリーズ”の1作目ということになりますね。
舞台となるのはT大学の芸術学部で、個性豊かな学生が多い芸術学部の中でもより個性の強い面々が集まっている、文芸サークル第三部“ザ・フール”が物語の中心に。
このサークルに所属する主人公の柏木は、人が話しやすい雰囲気を持ち、昔から相談を受けることが多かったため、訪れた人々の悩みや相談や愚痴を聞く“聴き屋”という活動を友人に薦められて始めるのですが、そんな主人公に持ち込まれてきた謎を解いていく話となっています。
とにかく登場してくるキャラクターたちが本当に個性豊かでして、その個性の強さゆえにはた迷惑な騒動を起こしてばかりいるのに何とも憎めない学生たちが、ドタバタ劇を繰り広げながら活き活きと学生生活を満喫しているので、読んでいると自分もT大芸術学部の一員であるかのように楽しくなってきますね。
そしてミステリ的にも、単なるほのぼの学園ミステリではなくて、殺人事件が起こったり、未完に終わっている演劇台本の結末を予想するなど、謎のインパクトも演出の仕方も論理的な推理も結構凝っていますし、それが見事にコミカルな学園ドラマとかみ合っているので、学園ミステリ好きであれば決して読み逃すことの出来ない作品といえるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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