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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.716
『書楼弔堂 破暁』 京極夏彦
「このミス」2015年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 21位
読始:2014.1.7~ 読終:2014.1.20
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年11月>
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幕臣の家に生まれた高遠は、明治の時代に入り父の縁故である会社に就くも、病気療養のため休職し、母や妻子が住む実家から離れて家を借り一人暮らしすることに。
しかし、病気が治っても仕事に復帰しないばかりか、実家にも帰らず、特にすることもない気ままな生活を送る毎日。
そんなある日、偶然にも近所にある本屋“書楼弔堂”と巡り逢ったものの、その本屋は一見して本屋とはわからない建物にただ「弔」の一字が書かれているだけで、中には古今東西のあらゆる書物が大量に並べられ、しかも店の主人は客の心を一目で見抜く眼力の持ち主、というかなり不思議な本屋で.....。
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というわけで本作ですが、「探書壱 臨終」「探書弐 発心」「探書参 方便」「探書肆 贖罪」「探書伍 闕如」「探書陸 未完」の6編からなる連作集です。
舞台となるのは明治25年の東京にある“書楼弔堂”で、この店の馴染みとなった主人公を語り部役として、店の主人と店を訪れる人々との物語が綴られていきます。
この弔堂主人というのが、本は読まれなければ死んでいるのと同じで、その本を本当に欲している人に巡り合わせることで本を弔う、という信念の元に本屋を営んでいる人物でして、店を訪れた人々の現状や悩みを見抜き、その人にとって一生のうちに出会える最良の一冊を勧めるのです。
店を訪れる人々は章ごとに異なるのですが、いずれも幕末から明治期に活躍した作家や政治家など実在の著名人たちで、その多くは弔堂主人との会話の中で正体が明らかになるという展開なため、登場する著名人が誰なのかを事前に知らないままに読んだ方がより楽しめるのではないでしょうか。
そんな弔堂主人と店を訪れる人々との会話というのが、本や(それぞれの人物の)生き方などの本質について熱心に問答するようなものでして、幕末から明治初期における激動の時代の空気感やそこを駆け抜けて来た人物たちの生き様が会話の中からありありと浮かび上がってきますし、弔堂主人の本に対する、そして本を読むという行為に対する奥深くて執念さえ感じさせる想いがひしひしと伝わってくるので、(好みは分かれるかもしれませんが)歴史物としても本自体を論じる物語としてもかなりの読み応えがありました。
そして、会話の中で相手の心にかかっていたモヤを鮮やかに取り払ってしまうところなど、“百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)”における憑き物落としのようですし、幽霊や妖怪などの存在が必ず話に出てくることから、“百鬼夜行シリーズ”と似た雰囲気もあるのですが、実は似ているだけでなく繋がりを思わせるようなエピソードもあったりするので、そういった遊び心も楽しみ所の一つですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.354 「死ねばいいのに」
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