『ペテロの葬列』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.715
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.715
『ペテロの葬列』 宮部みゆき
「このミス」2015年版 : 7位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 11位
「ミステリが読みたい!」 13位
読始:2014.1.7~ 読終:2014.1.19
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年12月>
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No.077「誰か」、No.083「名もなき毒」に続く“杉村三郎シリーズ”の3作目です。
そしてこのシリーズは、正式発表されているわけではないものの“三部作”という噂もあるので、それが本当ならばシリーズ完結編ということになりますね。
タイトルに規則性が全くないことからもわかるように、中心となる事件や騒動は各作品で異なりますし、本作中に前作に関する話題が度々出るとはいえネタバレではないので、本作から読んでも問題なく楽しむことが出来ると思います。
ただ、本作はシリーズ全体を揺るがすようなクライマックスが待ち受けていますし、それもあって本作を前2作よりも先に読んでしまうと、(刊行順に読んだ場合と比べて)前2作を読んだ時の印象が大きく変わってしまい、(本作の後からでは)前2作の本来の魅力を味わえない可能性が高そうなので、前2作も今後読むつもりがあるのならば、シリーズ1作目から順に読んでいくことを強くお薦めします。
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というわけで本作ですが、主人公である杉村三郎がバスジャック事件に被害者として巻き込まれる場面から始まります。
事件は結構あっさりと解決したものの、この事件をきっかけに生まれた人間関係や騒動、そしていくつもの謎が絡んでいくことで、事件の裏に秘められていた真相や人間ドラマが浮かび上がっていくのですね。
このシリーズは、根っからの“いい人”である主人公夫婦を中心に、“毒”や“悪”が伝染し襲いかかってくるような事件や騒動が描かれまして、今回もバスジャック事件を手始めに、現代の社会問題を象徴するかのような様々な“毒”や“悪”が作品全体を蝕んでいきます。
それらの“毒”や“悪”に対して、主人公が探偵役となって真相を追究しつつ立ち向かっていくのですが、どんなに過酷で危機的な状況にあっても、特別な能力など使わずに“良心”と“人情”で乗り越えていく主人公の活躍は相変わらずの面白さですし、目まぐるしく変わっていくストーリー展開や胸を打つような熱いドラマ性もさすがの一言です。
そして迎えるクライマックスでは、ここまで惹き込まれるように読んで来た物語が一瞬にして(頭の中から)吹っ飛んでしまうような強烈で信じられない衝撃の一撃が下されるのです。
このクライマックスは賛否両論激しく分かれそう(というか受け入れることが出来ない人が多そう)な展開なのですが、シリーズを通して語られてきたテーマ性がこれ以上ないくらいに表れていますし、やはりこのシリーズのクライマックスであればこれくらいの“毒”は必要かなとも思うので、変に感動的で予定調和な展開となるよりもこのシリーズらしくて良かったのではないでしょうか。
ただやはりこうなりますと、これでシリーズ完結とはならずに、ぜひとも主人公のこれからの姿を続編で読みたくなってしまいますね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.100 「火車」
> No.083 「名もなき毒」
> No.077 「誰か」
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> No.001 「模倣犯」
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