『スチームオペラ 蒸気都市探偵譚』 芦辺拓 > 「このミス」完全読破 No.704
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.704
『スチームオペラ 蒸気都市探偵譚』 芦辺拓
「このミス」2013年版 : 34位
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 9位
読始:2013.11.27~ 読終:2013.11.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年9月>
スチームオペラ (蒸気都市探偵譚) (創元推理文庫) 芦辺 拓 東京創元社 2016-04-28 売り上げランキング : 80056 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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この作品が発売された2012年には、伊藤計劃&円城塔のNo.579「屍者の帝国」、瀬名秀明のNo.654「大空のドロテ」、高野史緒のNo.566「カラマーゾフの妹」など、スチームパンク系の作品が数多く発表されました。
このスチームパンクとは、はっきりとした定義はないようなのですが、19世紀~20世紀初頭の蒸気機関が高度に発達した欧米を舞台としたSFファンタジー的な世界観を持つ作品で、アニメ『天空の城ラピュタ』や『ふしぎの海のナディア』のような雰囲気、と言えばわかりやすいでしょうか。
そんなスチームパンク系作品の多かった2012年の中でも本作は、タイトルからもわかるように、まさしくスチームパンクの王道ともいえる世界観でした。
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舞台となるのは19世紀を思わす倫敦なのですが、蒸気を動力源とする科学が高度に発展していますし、魔力的な力を秘めたエーテルが存在するので、現実世界における19世紀のロンドンにパラレルワールド的なSF要素が組み込まれた世界、といった感じです。
そんな世界において、(エーテルを用いることで宇宙にも行くことが出来る)巨大空中船の船長を父に持つ女学生のエマ・ハートリー、そして空中船が宇宙空間で見つけたカプセルに入れられていた謎の少年・ユージン、この2人が探偵見習いとして奮闘していく姿が描かれています。
冒頭からスチームパンク的なわくわくするような世界とエマの日常が(紹介も兼ねる形で)綴られ、冒険活劇が巻き起こっていきそうであるものの、やはりそこは芦辺作品ですから、エマとユージンが探偵見習いとなり、謎めいた殺人事件が起きるにつれて、本格ミステリ的な展開となっていくのですね。
ただ、殺人事件にはエーテルによる不思議な力が利用されているため、(現実世界における事件は異なる)この世界ならではのトリックが仕掛けられた事件なので、特殊設定における推理劇となっているのです。
しかも、読む人によってはバカミスと捉えられてしまうくらいに驚天動地な真相の数々が待ち受けているなど、単なるスチームパンク小説、単なる特殊設定本格ミステリに終わらない大胆な仕掛けに満ちているので、そんな奇想溢れる遊び心を楽しめる人には特にお薦めしたい作品です。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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