「このミス2014年版」対象作品を事前に読んでしまおう!<反省会>
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前回は「このミス2014年版」ランキング(順位)予想の反省を<総論編>と<各論編>の2回に分けて書いてみましたが、今回は、“「このミス2014年版」にランクインしそうな対象作品を予測し事前に読むこと”自体の反省を行う「「このミス2014年版」対象作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」を書いてみたいと思います。
と、その前に説明を加えますと、「このミス」の予想をするにあたって、自分が読んだ作品のみをその対象としました。
つまり、“ランクインしそうだな~”と思っていても読んでいなければ予想に入れていないので、“事前に読んだか読んでいないか”というのは、予想するのにとても重要になってくるわけなのですね。
なので、それに対する反省も、来年の予想の的中率を高めるためには、非常に重要となるのです。
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それではまず、「2014年版」で20位以内にランクインした20作品のうち、どのくらいの作品を事前に読んでいたのか、見てみましょう。
○:事前に読んでいた作品
▲:チェックしていたけど読めなかった作品
■:チェックしていたけど、入らないだろうと思って読まなかった作品
×:全くノーマークだった作品
* タイトル部分のリンク先は、Amazonの詳細ページ
01位 : ○ ノックス・マシン / 法月綸太郎 <感想記事はこちら>
02位 : ○ 教 場 / 長岡弘樹 <感想記事はこちら>
03位 : ○ ブラックライダー / 東山彰良 <感想記事はこちら>
04位 : ○ アリス殺し / 小林泰三 <感想記事はこちら>
05位 : ○ 死神の浮力 / 伊坂幸太郎 <感想記事はこちら>
06位 : ○ リバーサイド・チルドレン / 梓崎優 <感想記事はこちら>
07位 : ○ リカーシブル / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
08位 : ■ 検察側の罪人 / 雫井脩介 <感想記事はこちら>
09位 : ■ 星籠の海 / 島田荘司 <感想記事はこちら>
10位 : ○ ロスト・ケア / 葉真中顕 <感想記事はこちら>
10位 : ○ 祈りの幕が下りる時 / 東野圭吾 <感想記事はこちら>
12位 : ○ 美人薄命 / 深水黎一郎 <感想記事はこちら>
13位 : ○ 貴族探偵対女探偵 / 麻耶雄嵩 <感想記事はこちら>
14位 : ○ 代官山コールドケース / 佐々木譲 <感想記事はこちら>
15位 : ■ 去年の冬、きみと別れ / 中村文則 <感想記事はこちら>
15位 : ○ ヨハネスブルグの天使たち / 宮内悠介 <感想記事はこちら>
15位 : ○ 冷 血 / 髙村薫 <感想記事はこちら>
18位 : ○ コモリと子守り / 歌野晶午 <感想記事はこちら>
19位 : ○ ビブリア古書堂の事件手帖4 / 三上延 <感想記事はこちら>
20位 : ○ 奇譚を売る店 / 芦辺拓 <感想記事はこちら>
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というわけで今年の読み逃しは3作品。
2009年版が8作、2010年版が4作、2011年版が6作、2012年版が4作、そして昨年の2013年版が2作の読み逃しだったので、今年は昨年より1作多かったとはいえ、年々対象作品の読破数が減っていることを考えれば、及第点だったといえるのでは。
ただ、今年は読みたい作品を順当に読むことが出来て、対象作品を事前に読むことに関しては結構満足していたので、“これは今年はパーフェクトを達成できたのでは?(できただろう!)”という自信は昨年以上にあったのです.....。
なので3作も読み逃し、しかもベスト10のうち2作も読み逃してしまったということで、どちらかといえば悔しい結果だったものの、これは昨年も書きましたが、“ランクインするほどの評価を得たことを知ったうえでこれから読む作品”がないというのもそれはそれで寂しいですから、やはりこのくらいの作品数を読み逃すくらいがちょうど良いのかもしれませんね。
ただそれでもやはりあくまでパーフェクトを目標とすることには変わりないので、3作品を何故に読み逃してしまったのかをきちんと検証して、来年の「このミステリーがすごい!2015年版」で“ランキング発表前にランクイン全作品読破済み”の達成に少しでも役立たせてみましょう。
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まず「検察側の罪人」ですが、もちろんランクイン経験作家の作品なのでチェックはしていたし、書店で平積みされるなど好評のようだし、評論家の評価も高そうな感じがしたので、全くのノーマークというわけではありませんでした。
ただ、「犯人に告ぐ」で2005年版8位にランクインした以外はほとんど票が入っていなかったため、あくまで「このミス」基準でいうと一発屋なのかな~と無意識に感じていたので、評価が高かったとしても「このミス」での票には繋がらないのでは、と考えてしまったのです。
それでも一度だけ、購入しようかと書店で手を伸ばしかけたことがあったので、その時に手を伸ばし切って本を掴み購入するまでいっていれば.....ってところですね。
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続いて「星籠の海」ですが、「このミス」実績の豊富な島田荘司作品ですし、しかも人気&実績共に抜群の“御手洗潔シリーズ”なので、普通であれば悩むことなく読むべき作品です。
ただ、各400ページを超える上下巻の大作であったこと、そして他にも読みたい作品の多い(「このミス」2014年版対象作品の発売締切ギリギリの)10月発売だったことで、確実にランクインするのでなければ手が出にくいな~と思い、発売直後にネットで評判を見てみたら、評価が低いどころか酷評が多く見られたのです。
結構前評判の高かった昨年のNo.588「アルカトラズ幻想」でも次点の21位止まりだったので、これはランクインはないなと読むのをやめたのですが、「本ミス」で9位、「文春」で11位と来て、「このミス」で9位と、いずれのランキングでも高評価という結果に.....(「早ミス」は10月発売作品が対象外&翌年版の対象)。
「このミス」を予想するうえでネットの評価や感想を参考にする場合、高評価は参考にしてもいいけれど低評価は参考にしてはいけない、という教訓が自然と身についていたのですが、それを忘れて低評価を真に受けてしまったのが反省点です.....。
現にランキング発表後に早速読み終えてみましたら、やはり“御手洗潔シリーズ”ということもあって、このシリーズの往年の名作のような、探偵が奇想外の謎や意外性ある真犯人を名推理で解き明かす探偵的本格ミステリを期待して読んでしまうと、本作は嗜好に合わないだろうなと実感できました。
その一方で、謎が解き明かされることでスケールの大きい物語性が浮かび上がっていくという、探偵的本格ミステリとはまた違った趣向や要素に魅力があったので、往年の“御手洗潔シリーズ”に愛着があるかないかで評価が大きく変わってしまうだろう(そして「このミス」で評価を受ける内容だという)ことも実感できましたからね。
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最後に「去年の冬、きみと別れ」ですが、この作品だけはちょっと微妙な位置付けなのですよね。
本作は「掏摸」の英訳版で海外でも高い評価を受けた中村文則による初の“ミステリ要素を前面に打ち出した作品”ということで、ランキングに関係なく読むつもりでいました。
ただ、対象作品発売期限が押し迫って来た9月発売ということで、読む本の優先順位を決ためにもネットでの評判を見てみたのですが、物語的には好評だったのに対し、ミステリ的には芳しくない評価が多く見られたので、これは「このミス」的ではないのかなと判断し、優先順位を下の方に移してしまったのです。
そのため、予想をする前までに読み終えていなかったものの、ランキングが発表される前にはすでに読み終えていたという、微妙な位置付けとなったのです。
それで「このミス」にランクイン、「文春」ではベスト10入りという結果を知ってから考えてみますと、発売直後に本作の感想や評価をネット上に書く人というのは、やはり文芸系作品を多く読んでいる方が多いと思うのですが、そうなるとエンタメ系の「このミス」とは守備範囲が異なってしまうので、“「このミス」で好まれるミステリ要素の有無”をその感想から見出すことは困難だったのでしょう。
なのでここでも、“「このミス」を予想するうえでネットの評価や感想を参考にする場合、高評価は参考にしてもいいけれど低評価は参考にしてはいけない”という教訓が身に染みることに.....。
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そして以上の反省を踏まえたうえでの来年に向けた対策・秘策としては、読み逃した3作品はやはりいずれも9~10月の期限ギリギリに発売された作品だったので、8月までに発売された有力候補作品はなるべく8月までに読み終え、9~10月は発売直後の候補作品をなるべく多く読み漁るべきだ、といったところでしょうか(まあそれをしたくても時間的にも金銭的にもなかなか実行できないのですが)。
というわけで今年も3回に渡って反省してみましたが、来年は今年よりも対象作品を読めなくなってしまいそうな感じなので、読む本の精度をさらに上げて、予想の方も的中率を上げたいですね。
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> 「このミス2014年版」ランキング(順位)予想 <反省会・各論編> (13.12.10)
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