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2013年11月20日 (水)

『アリス殺し』 小林泰三 > 「このミス」完全読破 No.699

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.699

 『アリス殺し』 小林泰三

   「このミス」2014年版 : 4位

   受賞(候補) : 「啓文堂書店 文芸書大賞」受賞

   総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2016」 3位

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
              「ミステリが読みたい!」 8位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 13位

   読始:2013.10.30~ 読終:2013.11.5

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2013年9月>

アリス殺し (創元クライム・クラブ)アリス殺し (創元クライム・クラブ)
小林 泰三

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 “不思議の国”に住むアリスが、蜥蜴のビル相手に面倒くさい会話をしていると、ハンプティ・ダンプティが塀から落ちて死亡する事故が発生!

 .....という変な夢を見て目覚めた栗栖川亜理が大学に登校すると、玉子とあだ名されるほどにまん丸体型だった王子玉男が校舎の屋上から墜落死していて、さらには夢の中でビルが言っていた合言葉が同学年の井森健の口から発せられてビックリ。

 夢と現実とのリンクを確信するも、次の夢ではアリスがハンプティ・ダンプティ殺害の容疑者となっていて、頭のおかしい帽子屋と三月兎によるいいかげんな捜査により大した証拠もなく犯人と決められ、このままだと死刑になってしまう事態に。

 そうなると現実の亜理にも影響が出る可能性が高いため、亜理と井森は現実世界と不思議の国の両方で真犯人探しを開始して.....。

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 本作の舞台となるのは、言わずと知れたルイス・キャロルによる世界的名著『不思議の国のアリス』の世界です。

 三月ウサギ・帽子屋・眠りネズミ・トカゲのビル・公爵夫人などお馴染みのキャラクターが登場し、ナンセンスで不毛な会話や行動を繰り広げるなど、原作に近い世界観が作られています。

 そしてそんなアリスの世界と現実世界とが夢で繋がっているのですが、アリスの世界であるキャラが死ぬと、そのキャラとリンクしている現実世界の人物も同じような死に方をするということがわかり、しかも主人公であるアリスに冤罪による死刑宣告の危機が訪れたため、現実世界とアリスの世界の両方で真犯人探しを行っていくことに。

 この両世界を行き来する真犯人探しにより、次第に事件の真相が明らかになっていくだけでなく、“アリスの世界における○○が現実世界では▲▲だった”という両世界におけるキャラのリンクが徐々に分かってくる“パートナー探し”も楽しいですし、現実世界で“アリスの世界における事件”について真面目に推理し合う場面などもシュールで面白いです。

 それに、次々に襲ってくる衝撃の展開に驚愕の真相、結構グロい描写、SF的な仕掛けなど、作者らしい要素が存分に”アリスの世界”に注ぎ込まれていたので、異色作でありながらも、作者的には王道的な魅力に満ちた作品といえるのではないでしょうか。

 なお、『不思議の国のアリス』の世界で起きた事件と現実世界での事件がリンクしていくというのは、辻真先の『アリスの国の殺人』(日本推理作家協会賞受賞作)という偉大なる先例があるのですが、片や実験作ミステリ、片やSFホラーというメインジャンルの違いが対照的に作品に反映されているので、両書を読み比べてみるのも面白いかもしれませんね。


> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★★    おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★
 下ネタエッチ度 : ★        感涙ウルウル度 : ★
 衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “小林泰三” 関連記事 】

  > No.699 「アリス殺し」
  > No.101 「モザイク事件帳(大きな森の小さな密室)」


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