『時の審廷』 芦辺拓 > 「このミス」完全読破 No.697
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.697
『時の審廷』 芦辺拓
「このミス」2014年版 : 24位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 12位
「週刊文春ミステリーベスト10」 17位
読始:2013.10.21~ 読終:2013.10.26
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年9月>
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「殺人喜劇の13人」、「歴史街道殺人事件」、「時の誘拐」、「地底獣国の殺人」、「探偵宣言」、「十三番目の陪審員」、「不思議の国のアリバイ」、「怪人対名探偵」、「和時計の館の殺人」、「時の密室」、「赤死病の館の殺人」、「グラン・ギニョール城」、「三百年の謎匣」、「少年は探偵を夢見る」、「千一夜の館の殺人」、「裁判員法廷」、「彼女らは雪の迷宮に」、No.369「綺想宮殺人事件」、「七人の探偵のための事件」、「大公女殿下に捧げる密室」に続く、“森江春策の事件簿シリーズ”の21作目です。
そして、「時の誘拐」、「時の密室」に続く“「時」シリーズ”の3作目でもあります。
“森江春策の事件簿シリーズ”は、弁護士・森江春策が探偵役を務めるという共通点があり、複数の作品に登場するサブキャラもいますが、森江春策が関わることになる事件が個別に描かれていくので、特に続き物になっているわけではありません。
“時シリーズ”も、ストーリーが続いているわけではなく、時を超えて起きる事件が結びついていく物語という共通点のあるシリーズなので、本作から読んでも問題ないのでは。
ただ、以前の作品を読んでいればこその小ネタもあるようなので、過去作品を多く読んでいた方がより楽しむことが出来るのでしょうね。
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というわけで本作は、歴史的な政権交代が間近に迫った現代と、東京やハルビンなどで立て続けに謎めいた殺人事件が起きた戦前・戦後という、「日本分断」という謎の言葉で結びつく二つ(戦前と戦後を分ければ三つ)の時代に起きた事件とそれを巡る騒動が繰り広げられていきます。
まず戦前・戦後の話では、帝銀事件や下山事件など世間を賑わし現在まで多くの謎を残したままの実際に起きた事件をモデルとしたエピソードが出てきますし、日本人・中国人・ロシア人などが入り混じっていた戦前の満州・ハルビンにおける混沌さや猥雑さが事件と共に描かれていていくので、歴史小説的な趣も感じられました。
そして現代の話では、政権交代や大地震発生予報の発令などをきっかけに不穏な動きが起き、それをいち早く察した森江春策が謎を追っていく中で、複数の密室殺人事件に遭遇するなど、本格ミステリ的な展開となっていきます。
そんな時を超えた現在と過去の物語が交錯するように進んでいき、徐々に結びつきを強めていって、真相が明らかになると同時に両時代におけるいくつもの謎も鮮やかに解き明かされるという、まさしくこの「時」シリーズならではの醍醐味がこれ以上なく弾けていて、かなりの読み応えがありましたね。
ただ、今回は(芦辺作品にしては)本格ミステリに徹しているわけではなく、歴史ロマン的物語が中心ともいえるので、あまり本格ミステリとしての期待を高め過ずに、この時代を超えて展開していく物語を楽しむつもりで読んだ方が良いのかもしれません。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “芦辺拓” 関連記事 】
> No.780 「異次元の館の殺人」
> No.704 「スチームオペラ 蒸気都市探偵譚」
> No.697 「時の審廷」
> No.684 「奇譚を売る店」
> No.369 「綺想宮殺人事件」
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