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2013年10月29日 (火)

『雀蜂』 貴志祐介 > 「このミス」完全読破 No.698

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.698

 『雀蜂』 貴志祐介

   「このミス」2014年版 : 48位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2013.10.26~ 読終:2013.10.29

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 文庫本 <2013年10月>

雀蜂 (角川ホラー文庫)雀蜂 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

角川書店 2013-10-25
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 ミステリー作家の安斎智哉が八ヶ岳にある山荘で目覚めると、隣で寝ていたはずの妻・夢子が見当たらない代わりに、この時期(11月下旬)の山にはいるはずのないスズメバチが何故か部屋の中に。

 三年前にスズメバチに刺され九死に一生を得て「もう一度ハチに刺されたら命の保証はない」と医師に言われていた安斎にとってはかなり危険な状況なので、恐れつつスズメバチを撃退するも、部屋を出ると廊下にはさらに何匹かのスズメバチが。

 スズメバチを避けながら各部屋を回ってみたところ、携帯電話やパソコンなどの連絡手段はことごとく使えなくなっていて、車のキーもなく雪に囲まれた山荘から抜け出すことが出来なくなっていることから、夢子が仕掛けた罠なのではないかと気付いた安斎は、家中を飛び回るスズメバチを退治する決意をするが.....。

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 というわけで本作は、No.469「鍵のかかった部屋」以来2年ぶりとなる貴志祐介の新作で、「クリムゾンの迷宮」以来約14年ぶりとなる角川ホラー文庫の書き下ろし作品です。

 主人公とスズメバチとの死闘が描かれていくのですが、ホラーといっても幽霊が出たり凶悪な殺人鬼が出るような王道的なものではなく、パニック・サバイバル・サスペンス的な内容となっています。

 もう一度ハチに刺されると命に関わるため、そのハチが何匹も飛び合う家の中を移動するだけでも主人公の恐怖が伝わって来ますし、次々に襲ってくるスズメバチと数々の罠に対して様々な策を練って立ち向かっていく展開も読み応えがあり、終盤には驚くべき仕掛けも炸裂します。

 ただ、全編に渡ってスズメバチとの死闘のみが描かれるのでやはりどうしても地味な印象ですし、恐怖(ホラー感)を前面に出すというよりはパニックホラーのパロディ的なコメディさも感じられるので、ガッツリとした読み味のある作品ではありません。

 なので、久々の新作だからといって、過去に発表してきた傑作長編と同等のものを期待するのではなく、(また何年後に発売されるのかわからない)次の新作を待ち侘びる間の箸休め的な、気軽な心持ちで楽しむべき作品なのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★★    おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★★★    主キャラ魅力度 : ★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★
 下ネタエッチ度 : ★        感涙ウルウル度 : ★
 衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “貴志祐介” 関連記事 】

  > No.991 「ミステリークロック」
  > No.698 「雀蜂」
  > No.469 「鍵のかかった部屋」

  > No.466 「硝子のハンマー」
  > No.428 「ダークゾーン」
  > No.361 「悪の教典」
  > No.126 「新世界より」
  > No.012 「黒い家」


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