『海賊女王』 皆川博子 > 「このミス」完全読破 No.692
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.692
『海賊女王』 皆川博子
「このミス」2014年版 : 33位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.9.30~ 読終:2013.10.8
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本(上・下) <2013年8月>
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皆川博子は、2011年に発売のNo.480「開かせていただき光栄です」が「このミス」「本格ミステリ・ベスト10」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」のミステリ系ランキング全てで3位にランクインし、本格ミステリ大賞を受賞。
翌年のNo.547「双頭のバビロン」も「このミス」にランクインし、同年には作家単位で表彰される日本ミステリー文学大賞を受賞するなど、作家生活40年を超える中で80代となった今こそが全盛期ともいえる活躍を見せています。
しかも、2年連続でこれら大作を発表し、今年(2013年)に入っても長編『少年十字軍』を出しているのに、さらに上下巻の超大作である本作が登場するのですから、年齢を考えるとまさに奇跡のような超人作家であると今さらながらに実感してしまいますね。
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というわけで本作ですが、16世紀のアイルランドを舞台としたスペクタクル海洋冒険歴史小説です。
17歳でガログラス(戦士集団)としてオマリー(アイルランドの一族)の地にやって来た元・牧童のアランは、ひょんなことから族長の娘である10歳のグローニャの従者となることに。
そこから、自ら船団を率い外国の地にも悪名を馳せる海賊女王となっていくグローニャの波乱万丈の人生が、常に行動を共にするアランの目線により語られていきます。
当時のアイルランドは、隣国・イングランドから宗教的・武力的に圧力や侵略を受けていて、アイルランドのそれぞれの地域を治める族長たちは、自らイングランドに屈して支配を受け入れるのか、アイリッシュとしての誇りを守るためイングランドと敵対し戦うのかという、究極の選択とも言うべき過酷な立場に置かれ、しかもアイルランド内の一族同士でもいさかいが絶えないなど、混乱混沌混迷とした状況でした。
そんな激動のアイルランドで誇り高く豪快に生きていくグローニャの姿が、少女期には族長の娘として無鉄砲で奔放に、青年期には海賊船団の長として威厳を放ち気高く、壮年期には一族をまとめる族長として精悍さを保ち凛々しくと、年齢ごとに異なる魅力を携えながら、長きに渡る半生が迫力あふれる物語として描かれていくのです。
ミステリ要素やサスペンス要素はあまりなく、直球の冒険小説的展開が繰り広げられていくのですが、ミステリ的なエピソードや伏線を活かした展開などを所々に紛れ込ませているところなどらしさが出ていましたね。
そして、いやが上にも盛り上がるであろう場面をことごとくあっさりと描いていることからもわかるように、エンタメ的にもそこまでわかりやすいほどに派手で劇的に演出しているわけではないものの、ただそれ故にグローニャとアラン(と二人に絡む魅力溢れる人々)の生き様に焦点が絞られることで、より壮絶でより圧倒的でより感動的な大河ドラマとなっていたように感じました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.692 「海賊女王」
> No.547 「双頭のバビロン」
> No.480 「開かせていただき光栄です」
> No.137 「倒立する塔の殺人」
> No.007 「死の泉」
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