『奇譚を売る店』 芦辺拓 > 「このミス」完全読破 No.684
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.684
『奇譚を売る店』 芦辺拓
「このミス」2014年版 : 20位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 20位
「本格ミステリ・ベスト10」 26位
読始:2013.9.4~ 読終:2013.9.8
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年7月>
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――また買ってしまった。
という一文から必ず始まる話が集められた連作集です。
収録されているのは、「帝都脳病院入院案内」「這い寄る影」「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」「青髯城殺人事件 映画化関係綴」「時の劇場・前後篇」「奇譚を売る店」の6編。
主人公は作家で、根っからの古本好きな為、街中で古本屋を見かけると入らないわけにはいかなくなり、そうなれば当然のように古本を買うことになり、そして店を出た直後に毎回つぶやくことになるのが冒頭のセリフなのです。
とはいえ、店内で見た時には面白そうだったのに店を出た途端になぜこんな本を買ったのかと後悔したり、以前から探し求めていた本であるけれど高額な買い物だったり、自分の意志の弱さを嘆いていたりと、その意味合いは毎回微妙に異なりますし、なにより古本&古本屋に対する愛と共感が感じられるセリフなので、この一文を見る度になんとも微笑ましくなるのですよね。
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そして主人公が購入する古本のタイプも多岐に渡るものの(本ですらないものもあるくらいで)、読んでいくにつれて主人公がその謎めいて妙な魅力のある古本の虜になっていくところは共通しています。
そのため、主人公は古本の謎に迫っていくことになるのですが、そうするうちに主人公の周りで段々と不思議な現象が起きていき、いつしか古本がいざなうミステリアスな世界へと引きずり込まれていくのですね。
というわけで本作は、幻想性溢れる古書ホラーミステリでして、現実の世界と(古本が生み出す)幻想の世界との境が徐々に蝕まれていく過程がゾクゾクするほどの刺激となり、とても奇妙でドキドキさせられてしまうような読み味となっていました。
なので、(芦辺拓にしては)今回は本格ミステリ要素は薄めの作品でありますが、各作品の幻想ホラーとしての読み応えが(短いページ数にしては)充分にありますし、連作としての仕掛けもあり、なにより(“No.493「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ/三上延”とはまた違った)古本に対する偏愛がこれでもかと感じられるので、特に古本好きでかつ幻想小説好きな人へ大いにお薦めの作品です。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.780 「異次元の館の殺人」
> No.704 「スチームオペラ 蒸気都市探偵譚」
> No.697 「時の審廷」
> No.684 「奇譚を売る店」
> No.369 「綺想宮殺人事件」
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