『シャーロック・ホームズたちの冒険』 田中啓文 > 「このミス」完全読破 No.678
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.678
『シャーロック・ホームズたちの冒険』 田中啓文
「このミス」2014年版 : 28位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 19位
読始:2013.8.27~ 読終:2013.8.29
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年5月>
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ワトスン博士による未発表の手稿が発見され、シャーロック・ホームズの驚くべき推理劇が明らかにされる「「スマトラの大ネズミ」事件」。
赤穂浪士討ち入りの最中に吉良邸で起きていた密室殺人事件の真相を、遠き故郷の地で大石内蔵助の妻・りくが推理する「忠臣蔵の密室」。
実はシャーロキアンで推理マニアだったアドルフ・ヒトラーが、部下のボルマンをワトソン役にして探偵に成りきる「名探偵ヒトラー」。
『怪談』の著者であるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が怪異的な事件の謎を解く「八雲が来た理由(わけ)」。
アルセーヌ・ルパンの新たなる冒険譚が描かれる「mとd」。
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というわけで本作は、以上5作の短編から成る連作集です。
連作といっても作品自体に繋がりがあるわけではなくて、“世界の著名人が名探偵となる作品”を集めたパスティーシュ(パロディ)作品集ということなのですね。
シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンが活躍する話は、原作がフィクション小説ということもあって一見正統派なパスティーシュとなっているようでもあるのですが、そこはやはり田中啓文作品なので、奇想的な仕掛けに満ちた問題作に仕上がっています。
そして、大石内蔵助の妻・りく、アドルフ・ヒトラー、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と、探偵とは結びつかないような歴史上の人物が探偵役を務める話では、この探偵役の存在だけでも魅力ある意外性が生まれているのに、物語も手掛ける事件も現実と虚構とがいい具合に混じり合っているので、異色探偵ものとしても異色歴史ものとしても楽しめてしまうのです。
特にアドルフ・ヒトラーが探偵を務める話は、その探偵役の意外性もさるものながら、ヒトラーの無邪気で非道な人格そのままの探偵ぶりが見事にハマったとんでもなさなので、名(迷)作揃いの収録作の中でも飛び抜けてインパクトがあり面白い作品でした。
バカミスともいえそうな奇抜な真相がありますし、作品世界にそぐわないようなギャグ的小ネタが紛れ込んでいたりもするので、真面目にミステリ的探偵小説やホームズのパスティーシュ作品を楽しみたいと思っている人だとガッカリしてしまうかもしれませんが、そういった遊び心の部分を受け入れられる人ならば大いに楽しめると思うので、(田中啓文好きの人はもちろん)山口雅也作品的な奇想&遊び心が好きな人にもお薦めですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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