『愛に乱暴』 吉田修一 > 「このミス」完全読破 No.676
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.676
『愛に乱暴』 吉田修一
「このミス」2014年版 : 43位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.8.12~ 読終:2013.8.15
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年5月>
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主人公である初瀬桃子は、義父母が住む母屋と同じ敷地内にある離れ(の家)で夫・真守と暮らす女性。
何かと小うるさい姑とぎくしゃくした関係が続いていたものの、意外なきっかけで今までの関係が嘘だったかのように姑と打ち解け、カルチャースクール講師の仕事も順調でと、幸せな生活を送る毎日。
しかしそんな折、夫が浮気していることが発覚して.....。
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そこからは不倫話ならではのドロドロ劇が繰り広げられ、主人公・桃子の生活が徐々に蝕まれていく様子が描かれていきます。
ただ、ドロドロ劇は読んでいて心底嫌な気分になるほどにはドロドロしていませんし、次第に狂っていく桃子の心情や行動も、ホラーサスペンス的展開となるほどの強烈な狂気や情念が溢れているわけではありません。
それに、物語の途中でミステリ的な仕掛けが施されていることが明かされ驚きを生み出すも、その仕掛けは一つのアクセントといった感じでそれがメインとなっているわけではないなど、様々な面で中途半端な印象となっているのです。
しかし、そんな吹っ切れそうで吹っ切れないというもどかしい展開が、桃子のひょうひょうとして捕え所のない性格や思考にとても合っていて、この主人公ならではの浮遊感を楽しめる雰囲気が作られているので、本作に限ってはあらゆる面で中途半端なのではなく、崩れそうで崩れない絶妙なバランス感覚によって物語が支えられているように感じてしまうのですよね。
なので、がっつりした読み応えのドロドロ不倫劇を期待したり、単行本の初版帯の『本当に騙したのは、妻か?夫か?やがて、読者も騙される』という煽り文からミステリ的な要素のみを期待してしまうと、あまり手応えを感じられないかもしれませんが、そこに期待を高めなければ、他の作品ではなかなか味わうことが出来ない独特の読み味を堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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