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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.674
『島はぼくらと』 辻村深月
「このミス」2014年版 : 投票数0
受賞(候補) :
ランキング : 「本屋大賞」 3位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR
(小説ランキング)」 19位
読始:2013.8.8~ 読終:2013.8.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年6月>
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直木賞を受賞したNo.572「鍵のない夢を見る」以来約1年ぶりとなる新作で、すなわち直木賞受賞第1作でもあります。
そんな本作は、瀬戸内海の島を舞台としているのですが、同じように地方の田舎町が舞台であることをテーマに盛り込んでいたNo.256「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」とNo.603「水底フェスタ」を意識して書いたそうで、そのためこの2作を合わせた三部作として読むことも出来るようです(大まかなテーマ性以外の共通点は特にありませんが)。
そしてこの2013年には、やはり瀬戸内海の島を舞台として“故郷”がテーマとなっている湊かなえのNo.637「望郷」も発売されているのですが、似たような舞台&テーマでありながらその内容は両作家の特徴が対照的に出ているので、両作品を読み比べてみるのも面白いかもしれませんね。
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というわけで本作ですが、島内に高校がないため、毎日フェリーを使って本土の学校へと通う朱里・衣花・源樹・新の高校生4人組の物語です。
フェリーの時間が決まっているために部活動に参加できないなど制約のある学校生活や、卒業後に島を出るのか残るのかといった進路の問題など、島に住んでいるからこその悩みや、島に4人しかいない同級生ならではの関係性などを中心に、4人の青春物語が明るくさわやかに描かれていきます。
そこに、地域活性デザイナーとして島の活性化を手助けしている女性・ヨシノの存在や、島外からの移住者(特にシングルマザー)を多く受け入れている島の施策、島民のおばちゃんたちで立ち上げた食品加工会社など、島に対する立場が様々な大人たちによる社会的状況や騒動が絡むことで、島という田舎町を舞台とした人間ドラマとしての深い味わいも生み出されていました。
そして、島に伝わる幻の脚本や、過去が謎めいているIターン組の住民など、表立っているわけではないもののミステリ的な要素を作中に散りばめることで、ストーリーにメリハリと盛り上がりを作り出していたのは、ミステリ出身作家ならではの魅力的な演出といった感じでしたね。
地方の田舎町の閉塞感やしがらみをドロドロした負の感情として描いた「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」「水底フェスタ」と比べても、本作は故郷や田舎町の素晴らしい部分を肯定的に描いているため、同じテーマとはいえその描き方は対照的ともいえるので、「ゼロ、ハチ~」「水底~」が合わなかった人でも本作を楽しめるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “辻村深月” 関連記事 】
> No.603 「水底フェスタ」
> No.572 「鍵のない夢を見る」
> No.472 「オーダーメイド殺人クラブ」
> No.256 「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
> No.219 「太陽の坐る場所」
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