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2013年8月21日 (水)

『悪人』 吉田修一 > 「このミス」完全読破 No.624

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.624

 『悪人』 吉田修一

   「このミス」2008年版 : 17位

   受賞(候補) : 「毎日出版文化賞」受賞
            「大佛次郎賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 7位
               「週刊文春ミステリーベスト10」 8位

   読始:2013.1.19~ 読終:2013.1.31

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本(上・下) <2009年11月>

悪人(上) (朝日文庫)悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一

朝日新聞出版 2009-11-06
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 吉田修一は、大衆小説が対象となる山本周五郎賞と純文学が大賞となる芥川賞を受賞していることからもわかるように、ジャンルを問わない活躍を見せていましたが、「このミス」においては巻末の“BOOL LIST”にすら載らないくらいにジャンル的対象外の作家でした。

 ところが本作は、毎日出版文化賞&大佛次郎賞をダブル受賞しただけでなく、「このミス」でも見事に17位にランクインとなったのですね。

 その後も妻夫木聡&深津絵里の主演で映画化され、映画のヒットと共に原作である本作も大ヒットとなるなど、発売から6年経つ現在(2013年)に至っても名実共に吉田修一の代表作となっています。

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 内容の方は、福岡と佐賀とを結ぶ旧道で起きた、保険外交員の若い女性が殺害された事件を巡る物語です。

 被害者や加害者(犯人)はもちろん、その家族や同僚や友人、容疑者や捜査関係者や、それら人物と何らかの形で関わった人々など、登場人物は数多いのですが、それぞれの人物たちの目線で語られていくので、対象人物が増大な群像劇のような形で進んでいきます。

 様々な人物の目線や行動思考や人生などを通して見ていくことで、事件の様相や背景が徐々に積み重ねられながら浮かび上がっていくので、事件自体はそこまで謎めいてもいなく、衝撃性や猟奇性などもないのにも関わらず、まるでこの事件を現実体験しているかのような緊張感とリアルさが感じられるほどでした。

 それに、各人物たちのドラマ性やキャラクター性も、結構淡々としていながら深く繊細に描いていくことで登場人物たちにリアルな命を吹き込むことに成功しているため、そんな(リアルさを突き詰めた)物語や登場人物たちの描き方により、読んでいて圧倒されるほどの迫力が生み出されていましたね。

 殺人事件はミステリ的というわけではなく、犯罪サスペンスといっても手に汗握るような派手な展開はないので、「このミス」系エンタメ的な読み方をしてしまうと物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、そういったタイプでありながら(サスペンス系)エンタメ的作品としての読み味もあるという、境界線ギリギリの奇跡的なバランス感覚で完成されているので、本作に対する大きな評価にも納得の面白さでした。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★★     主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★
 衝撃バカミス度 : ★★★     気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “吉田修一” 関連記事 】

  > No.724 「怒り」
  > No.676 「愛に乱暴」
  > No.624 「悪人」
  > No.539 「太陽は動かない」
  > No.195 「元職員」


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