『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介 > 「このミス」完全読破 No.664
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.664
『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介
「このミス」2014年版 : 15位
受賞(候補) : 「日本SF大賞(特別賞)」受賞
(「直木三十五賞」候補)
総合ランキング : 「短編SF・オールタイムベスト(国内編)」
36位作品 『ロワーサイドの幽霊たち』 収録
「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート
年度ランキング : 「ベストSF2013」 2位
「ミステリが読みたい!」 3位
「キノベス!」 10位
「週刊文春ミステリーベスト10」 12位
読始:2013.7.2~ 読終:2013.7.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年5月>
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宮内悠介は、“創元SF短編賞(山田正紀賞)”の受賞作を表題作としたNo.611「盤上の夜」で昨年(2012年)にデビュー。
すると、発売直後にデビュー作ながら“直木賞”にノミネートされ(受賞はならず)、年末発表の「このミス」でベスト10入りするなど、SFという枠を超えた評価を受けることに。
さらには、その年に発表された中で最も優れたSF作品に贈られる“日本SF大賞”を受賞するなど、SFの枠内でも最大級の栄誉を受けていますし、これがデビュー作だということを改めて考えてみれば、歴史に残るほどに破格の作品だということが実感できると思います。
そしてデビュー2作目となるのが、デビュー作から約1年後に発売された本作なわけですが、(ちょうど自分が読んでいる途中で発表された)“直木賞”に本作もノミネートされ(今回も受賞はならず)、これでデビューから2作連続で直木賞にノミネートということで、“作家・宮内悠介”としての評価もゆるぎないものになりそうな感じですね。
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というわけで本作は、「ヨハネスブルグの天使たち」「ロワーサイドの幽霊たち」「ジャララバードの兵士たち」「ハドラマウトの道化たち」「北東京の子供たち」の5編から成る連作集。
各話に直接的な繋がりはないのですが、日本製のホビーロボット・DX9(ボーカロイド・初音ミクを実体化したかのような歌うロボット)が必ず登場し落下するなど、いくつかの共通点があります。
そして舞台となるのが、激しい内戦が続いている地や9・11テロの現場などで、それぞれの主人公がそんな過酷な状況の真っ只中に身を置いての物語が描かれていくので、焦燥感や悲壮感がかなりリアルに伝わってきますし、一方でSF設定や幻想性溢れる描写・演出により非現実的な雰囲気が作中を覆っているので、そんな現実と非現実の狭間で翻弄されつつも、作品世界に惹き込まれてしまいました。
(囲碁・麻雀・将棋といった)盤上遊戯の第一人者たちの燃え狂うような人生を描いたデビュー作に対して、本作のテーマは国家・民族・宗教・戦争・言語など壮大で漠然としたものなので、“個人の物語”と“世界の物語”という全体的な印象の違いがあり、それによってデビュー作とはまた異なる魅力や読み応えがあったように思います。
とはいえ、美しくも狂おしい破滅的で圧倒的な世界観は、やはりデビュー作と同様の刺激に満ち溢れているので、誰もが楽しむことができる作風というわけでは決してありませんが、とにかくこの作者にしか作り出すことの出来ない“物語から生まれる熱量”は本物だと思うので、デビュー作を楽しんだ人にもまだ読んでない人にもお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.876 「アメリカ最後の実験」
> No.841 「エクソダス症候群」
> No.664 「ヨハネスブルグの天使たち」
> No.611 「盤上の夜」
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