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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.663
『名も無き世界のエンドロール』 行成薫
「このミス」2014年版 : 投票数0
受賞(候補) : 「小説すばる新人賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.7.5~ 読終:2013.7.6
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年3月>
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小説すばる新人賞を受賞した、行成薫のデビュー作です。
この“小説すばる新人賞”は、古くは花村萬月や篠田節子や佐藤賢一や荻原浩、2000年代以降も堂場瞬一や三崎亜記や朝井リョウなど、デビュー後も活躍している作家、特に後の直木賞作家を多く生み出しているなど、売れっ子作家輩出の実績が結構高い新人賞です。
なので、この行成薫のデビュー作&受賞作も、今後の活躍に注目するという意味でも興味深い作品となるかもしれませんね。
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というわけで本作ですが、人にドッキリを仕掛けるのが好きなマコトと、デカい体のくせにビビり癖のあるキダの、幼なじみ2人組の物語が、時系列バラバラに語られていきます。
その中で学生時代のエピソードでは、同級生の女子・ヨッチも含めた3人による青春物語が軽快に描かれていくのですが、エピソード中に人生哲学的なテーマが込められていたりもするので、どちらかといえばエンタメ的というよりは文学的といった読み応えがあったように思います。
一方で、マコトが社長に、キダが何やら怪しい仕事に就くなど、(学生時代とは立場や状況が大きく異なる)大人になってからのエピソードでは、この2人がある“大作戦”を計画し敢行しようとしているので、こちらの方はどちらかといえばエンタメ的な展開が繰り広げられていきます。
そしてクライマックスでは“大作戦”の中身が明らかにされるわけですが、過去・現在のエピソードや小ネタを伏線としての大仕掛け(ドッキリ)が炸裂しますし、その場面における迫力というのが(仕掛けに薄々勘付いていたとしても)グイグイと惹き込まれてしまうほどの底知れぬパワーとして感じられましたね。
小粋なセリフや伏線や構成など某作家を思い出させるものがあるし(その作家が誰なのか知ってしまうと読んでいて気になってしまいそうだから事前に知らない方がいいかも)、いかにもエンタメ作品的なスッキリとした読み味があるタイプではないので、好き嫌いは分かれてしまいそうですが、新人のデビュー作という枠を超えるほどの“読ませる力”は確実にあったのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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