『ノックス・マシン』 法月綸太郎 > 「このミス」完全読破 No.659
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.659
『ノックス・マシン』 法月綸太郎
「このミス」2014年版 : 1位
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング : 「短編SF・オールタイムベスト(国内編)」
34位作品 『バベルの牢獄』 収録
「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート
「SUGOI JAPAN Award 2016」 ノミネート
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 1位
「週刊文春ミステリーベスト10」 3位
「本格ミステリ・ベスト10」 4位
「ベストSF2013」 6位
「AXNミステリー 闘うベストテン」 7位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2013.6.17~ 読終:2013.6.19
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年3月>
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法月綸太郎は寡作な作家として有名で、新作が数年発売されなくても、それが普通の状態だと思ってしまいます。
しかし、「このミス」でいう昨年版(2013年版)の期間にNo.511「キングを探せ」(“本格ミステリ・ベスト10”1位)を発表すると、今年度版(2014年版)対象作品はNo.644「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」に本作とすでに2作も発売済み。
しかも年内に“怪盗グリフィンシリーズ”最新作No.843「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」も発売されるかもしれないということで、ここ数年は(作者的には)精力的に作品を発表しているのです。
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というわけで本作ですが、「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「バベルの牢獄」「論理蒸発――ノックス・マシン2」の4編からなる中短編集です。
作品集のテーマとしては、本格ミステリとSFの融合なのですが、ここでいう“本格ミステリ”というのは、謎めいた事件が起きてその真相を探偵(役)が推理して.....、といったものではなく、本格ミステリ作品(特に海外の古典的本格ミステリ作品)そのものを扱っているのです。
具体的に説明しますと、表題作「ノックス・マシン」では、推理作家ロナルド・ノックスが発表した探偵小説を書くための10のルール”ノックスの十戒”がタイムマシン成功の鍵となりますし、「引き立て役倶楽部の陰謀」ではヘイスティングズ大尉、ワトスン博士、ジャーヴィス博士、ヴァン・ダイン弁護士など古典推理小説の“名ワトソン役”たちが設立した“引き立て役倶楽部”にまつわる(パロディー的な)物語となっています。
そして「論理蒸発――ノックス・マシン2」では謎の電子テキスト炎上(ネットの世界で使われている“炎上”ではなく、文字通り炎が上がる“炎上”)事件の原因がエラリー・クイーンの“国名シリーズ”にあるなど、古典推理小説そのものとSF設定とが大胆に奇想的に融合されているのですね。
そのため、古典推理小説やその作家たちの有名どころを知っているか(読んでいるか)どうかで面白さは大きく変わってしまいますし、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」、エラリー・クイーンの「シャム双子の謎」「チャイナ橙の謎」に関しては、ネタバレや重要部分への言及などあります。
それに、SF要素にしても(トンデモ系でありながらも)結構専門的な内容に踏み込んでいるので、かなり敷居が高い読者を選ぶ作品といえるのかもしれません。
とはいえ、それらの条件をクリアしている人であれば、この奇抜な遊び心に満ち溢れた魅力を心から楽しむことが出来るだろうし、扱われる小説を読んでいなくとも(ネタバレしてしまってもOKならば)充分に面白さが伝わって来ると思うので、誰にでもお薦めできる作品ではないものの、(SFやバカミス的設定も許容範囲な)本格ミステリマニアの人には大いにお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.1117 「赤い部屋異聞」
> No.1100 「法月綸太郎の消息」(後日更新予定)
> No.0924 「挑戦者たち」
> No.0843 「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」
> No.0659 「ノックス・マシン」
> No.0644 「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」
> No.0542 「頼子のために」
> No.0511 「キングを探せ」
> No.0281 「密閉教室」
> No.0096 「犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題」
> No.0042 「怪盗グリフィン、絶体絶命」
> No.0004 「生首に聞いてみろ」
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