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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.658
『マドモアゼル』 島村匠
「このミス」2014年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.6.10~ 読終:2013.6.14
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年3月>
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雑誌ライターの結城真理は、家を出たところで怪しい男に声を掛けられ、外務省が秘密裏にしているある情報を真理の母・智子が現在探っていることを知らされる。
母の旧友からの頼まれ事もあり、疎遠となっていた母に会いに行ったところ、そこで母から見せられたのが、血に染まった年代物のスーツ。
これは、第二次大戦中をパリで過ごした今は亡き祖母・久能千沙の最近見つかった遺品で、当時休業していたはずのシャネルのスーツと見受けられ、それが本当であれば世界的な大発見となるほどのもの。
この血染めのスーツの謎、そして当時の祖母の謎に迫るためパリへ行くという母に同行し、真理もパリへと向かうことに.....。
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というわけで本作は、結城智子・真理の母娘による(作中における)現代のパリを舞台とした物語、そして大戦直前にパリへ渡った祖母の少女時代の物語、さらにその祖母と同時期にパリに在住していた“シャネル”の創始者、ココ・シャネルの物語、これら3つのストーリーが並行して語られていきます。
中心となるのは結城母娘によるパリでの話で、祖母やスーツの謎について慣れない外国の地で探っていくわけですが、そういった謎に対する調査そのものよりも、真実が徐々に明らかになっていく過程によって、確執のあった母娘関係が次第にほぐれていくドラマ性の方に、強い印象が残りました。
そして、戦時中のパリを舞台にした物語も、日本人の少女と有名女性デザイナーという特別な視点から描かれていくことによって、普通の“戦時下の街を舞台とした物語”とはまた違った面を魅力的に映し出していますし、国際的とも言うべきスケールの大きな展開を見せ、サスペンス的にも盛り上げてくれます。
ただ、調査ミステリとしてみると、意外性のある展開や驚くような真相などはそれほどないですし、現代&過去におけるパリの情景や当時の情勢などがリアルに伝わってくるような描写というわけではなく、結構あっさりというか(戦争が絡んだ話としては)上品な趣きが感じられるので、ガッツリとした読み応えを期待してしまうと物足りなく思えてしまうかもしれません。
とはいえ、時代を超えて描かれていく女性たちがとても活き活きとしていて、そんな女性の力強さが源となっている物語には感銘を受けてしまいますし、国際歴史サスペンスとして読み味もなかなかのもので、派手さはないながらも本作が放つ魅力がじわりじわりと身体に染み込んでくるかのようだったので、ミニシアター系の劇場で一般には有名ではないのだけれどロングランヒットしている映画のような、良質という言葉が似合う魅力が感じられました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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