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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.653
『Gene Mapper -full build-』 藤井太洋
「このミス」2014年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「日本SF大賞」候補)
(「星雲賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ベストSF2013」 4位
読始:2013.5.30~ 読終:2013.5.30
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 文庫本 <2013年4月>
Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA) 藤井 太洋 早川書房 2013-04-30 売り上げランキング : 23794 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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藤井太洋は、本作にてデビューとなりました。
しかし、文学新人賞を受賞したわけでもないのに、すでに大きな実績を残している作家でもあるのです。
というのも、昨年(2012年)の7月に、執筆・編集・制作等全て一人でおこなう個人出版という形で「Gene Mapper -core-」を電子書籍として販売すると、またたく間にKindle・koboなど電子書籍ストアの売り上げランキングで上位にランクイン。
さらには、米澤穂信の「氷菓」、冲方丁のNo.305「天地明察」、貴志祐介のNo.126「新世界より」にNo.361「悪の教典」、伊藤計劃の「虐殺器官」など、すでに紙の本で大ヒットしていた人気作家の人気作品を差し置いて(短い集計期間だったとはいえ)“Best of 2012 Kindle 本 年間ランキング(小説文芸部門)”で1位となるなど、デビュー前の作家の個人出版作品としては異例の大ヒット。
そして、そんな「Gene Mapper -core-」を大幅に増補改稿して長編に仕上げたのが本作、というわけなのですね。
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舞台となるのは、仮想空間でアバターを使うことで遠く離れた人とも目の前で会っているかのように会話等できる“拡張現実”技術が広く社会に浸透した2037年の近未来世界。
そして主人公の林田は、遺伝子設計された蒸留作物を扱う遺伝子デザイナーで、かつて自身がL&B社から依頼されて遺伝子設計をした稲が、遺伝子崩壊した可能性があるとの連絡を受けたため、原因究明にあたることに。
というわけで、物語の冒頭からSF的な舞台設定や遺伝子などの専門的な話が中心となり、それに関した専門用語が頻繁に飛び交うため、その時点で読み進めるのが嫌になってしまう人もいるかもしれません。
ただ、L&B社のエージェントである黒川と共に原因究明の旅に出てからは、勢いのあるサスペンス的な展開が繰り広げられていくので、そこからは専門用語などそれほど気にせず物語世界にのめり込むことができるのでは。
それに、大元となる遺伝子崩壊した稲の謎はもちろん、その黒幕に関する謎や、主人公が行動を共にする黒川の謎など、数々の魅力的な謎が作品全体に散りばめられていて、それが興味深くて関心が高まるSF的な作品世界と交じり合うことで、読んでいてグイグイと引き込まれる物語が生み出されていたように思います。
特大なスケール感や波乱万丈なストーリー展開などを有する超大作というよりは、シンプルなストーリーをスピード感とSF設定で読ませるタイプといった感じですが、SF以外にもサスペンス・ハードボイルド・ミステリなど様々なジャンル的要素が絡み合った読みやすいSFエンタメ作品なので、SF好き以外の人にも大いにお勧めですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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